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PLM雌伏の10年、これからは飛躍の10年となるかMONOist10周年特別寄稿(1/4 ページ)

2000年代前半から製造ITツール業界で話題になり始めた「PLM」。しかし、MONOistが2007年に開設してからこの10年間、PLMの実際の運用状況はPDMの延長線にすぎなかったかもしれない。しかし、IoTの登場により、PLMは真の価値を生み出す段階に入りつつある。

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 こんにちは。志田穣と申します。

 私は20年ほど前に社会人となってから、業務として主に機械系の3D CADおよび昨今ではPLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)の領域に携わって参りました。本稿では、まず最近10年間のPLMツールの動向を振り返り、最近の製造業を取り巻く状況や技術の進化から今後のPLMの10年がどうなっていくかについて話したいと思います。

2000年代前半から使われるようになった「PLM」という言葉

 私が就職した1990年代後半はCAD/CAM、CAEやPDM(Product Data Management:製品データ管理)という言葉はありましたが、まだPLMという言葉や概念はありませんでした。設計や解析、生産準備など各業務において、3Dデータを活用し、そうした場合扱うデータの個数が増大するために、データ管理が重要になってきた、という段階です。

 PLMという言葉がよく聞かれるようになってきたのは、2000年代前半でしょうか。ツールの前に、当時のCAD/PDM開発ベンダーからコンセプトとして発信されたのが始まりであったと記憶しています。PDMのスコープを大きく拡大し、製品データを基軸に、製品の企画段階、設計/開発、生産準備、生産、調達、保守、廃棄までを、ワークフローや変更管理など含め一元的に管理することがPLMのコンセプトになります。

 文字だけで書いても非常に壮大な話ですが、当時開発ベンダー1社で包含できるところがあったわけではなく、CAD/PDM開発ベンダーは買収や企業間提携を通じて実現しようとしました。

 例えば、フランスのダッソー・システムズ(Dassault Systemes)は、2000年代にデネブ(Deneb)やデルタ(DELTA)などを買収し、生産準備領域のソリューションとなるDELMIAブランドを構築しました。2005年には米国のアバカス(Abaqus)を買収し、解析ソリューションとなるSIMULIAブランドの基礎を築いています。そして、2006年に米国のマトリックス・ワン(MatrixOne)を買収して、PLMデータ基盤となるENOVIAブランドを構築しました。

2008年ごろの「ENOVIA V6」の画面例
2008年ごろの「ENOVIA V6」の画面例(関連記事:3DとWebで知財を共有するPLMツール―ENOVIA V6

 現在、ドイツのシーメンス(Siemens)が傘下に置くシーメンスPLMソフトウェアは、源流をたどれば米国のUGSとSDRCになりますが、シーメンスが買収する前の2005年に、生産準備領域のソリューションである、イスラエルのテクノマティクス(Tecnomatix)を買収しています。

2011年発表の「Tecnomatix 10」の画面例
2011年発表の「Tecnomatix 10」の画面例(関連記事:生産準備工程の同時立ち上げを促進するTecnomatix 10
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