ITアウトソーシングサービスにより、3割の業務効率化:製造IT導入事例
新日鉄住金ソリューションズは、ITインフラの運用・保守やデータセンター、クラウドサービスなどを包括的に提供する同社のアウトソーシングサービス「NSFITOS」を矢崎総業が採用したことを発表した。
新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)は2017年8月24日、同社のアウトソーシングサービス「NSFITOS(エヌエスフィットス)」を矢崎総業が採用したことを発表した。ITインフラの運用・保守やデータセンター、クラウドサービスなどを包括的に提供するサービスで、矢崎総業では3割の業務効率化を達成したという。
矢崎総業は、自動車部品や電線、ガス機器などを開発・製造・販売するグローバルサプライヤー。静岡県裾野市にプライマリーデーターセンターを構えていたが、事業強化のため、可用性向上やリスク対策を目的として移設を検討していた。同時に、意思決定のスピードを向上するために業務改革・改善を進めており、IT部門社員の役割や業務を見直す必要に迫られていた。
これらの課題解決に向け、矢崎総業ではNSSOLのNSFITOSを導入。データセンターは地理的要件やマルチクラウド対応などを考慮し、北九州データセンターを選定した。これに伴い、リソース調達の柔軟性からNSSOLのマネージドクラウドサービス「absonne」を採用した。2016年から新規システムをabsonneで稼働させ、自社データセンターから順次移設を実施。現在、基幹システムを含む150VM規模のシステムが安定して稼働している。
またNSSOLは、矢崎総業のIT部門社員がそれぞれ担っていた企画などのコア業務と運用・保守に関わるノンコア業務について、業務量を詳細に分析した。その結果を受けて、矢崎総業は広範囲のノンコア業務をNOSSOL側に移管。これにより矢崎総業では、システムの可用性が向上し、ITインフラ保守・運用に従事する社員の約3割を業務改善や改革を推進する役割にシフトすることができた。
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