農作物の品質や収穫量、収益性を向上させる農作物監視ソリューションを提供:製造業IoT
Analog Devicesは、米国ニューハンプシャー州の高校や地元農家に対して、21世紀型農業技術の教育を行う取り組みを発表した。IoTを活用した農作物監視ソリューションの試作版を提供する。
Analog Devices(ADI)は2017年8月23日、The Cornucopia Project、ripe.ioと協力し、アメリカのニューハンプシャー州の高校や地元農家に21世紀型農業技術の教育を行うことを発表した。
この取り組みは、学生向けにガーデニングや農業を学ぶプログラムを提供する非営利団体のThe Cornucopia Projectと共同し、ADIとripe.ioが資金と技術トレーニングを提供して実施される。IoT(モノのインターネット)やブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用して、作物の生育状況や「Farm to Fork(農場から食卓まで)」の生産活動を追跡する技術の習得を支援し、品質や収穫量、収益性の向上につなげる。
この活動でADIは、農家が散水量や施肥の量とタイミング、害虫対策、収穫時期などを判断するための環境要因を計測可能な農作物監視ソリューションの試作版を提供する。センサーからクラウドまでをカバーし、ほぼリアルタイムでモニタリングした情報を蓄積。農家はこれに基づいて、より適切な判断を下すことができる。また、24時間行われる測定と近赤外(NIR)小型分光器を組み合わせ、これまでの農場環境では実現できなかった食品の非破壊品質分析を行う。
またripe.ioは、ブロックチェーン技術を活用し、農作物の栽培/流通/保存状況などのデータをまとめ、生鮮食品のサプライチェーン全体のモデル化を目指している。増加するリストの履歴を維持できるブロックチェーン技術の活用により、種から消費者の食卓まで農作物のライフサイクル全体を追跡し、農業サプライチェーンに透明性と説明責任をもたらすことができる。今回の活動では、ブロックチェーン技術を導入して、農家や業者から流通、小売、食品サービス、最終消費者に届くまでのサプライチェーンをオープンにする取り組みを行う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- クボタはIoT活用で農家の「所得倍増」に貢献する
日本を代表する農機メーカーのクボタは、農機にIoTを組み合わせる「スマート農業」で成果を上げている。このスマート農業によって「もうかる農業」を実現し、農家の「所得倍増」に貢献していくという。同社 専務執行役員 研究開発本部長の飯田聡氏に話を聞いた。 - “次の100年の礎”に、ヤンマーのIoT戦略は「B2B2M2C」
ヤンマーは、農機の見守りサービス「SMARTASSIST」や自動運転トラクター「ロボトラ」をはじめ、農機のIoT(モノのインターネット)活用に積極的に取り組んでいる。同社のCIO(最高情報責任者)として、農機のIoT活用をはじめさまざまなIT戦略を推進している矢島孝應氏に話を聞いた。 - ボッシュが農業に参入、AIで作物の病害感染を精度92%で予測する
ボッシュは、ハウス栽培の作物の病害感染を予測するサービス「Plantect(プランテクト)」を開始する。ハウス内の環境を基に病害の感染リスクを予測し、適切なタイミングで農薬を散布できるようにする。 - ハウス栽培にIoTとAIを活用、福岡県で実証実験
スカイディスクは、福岡県が募集した「農業IoTシステム開発・実証事業」の事業者に採択された。農業にIoTを導入する際の最適な方法を構築し、同県の農業発展に役立てる。 - CEATEC JAPANに見る農業の未来、「モノづくり」としての農業にご注目!
最先端IT・エレクトロニクスの展示会である「CEATEC JAPAN」だが、自動車や新エネルギー関連の出展の陰でひそかに増えているのが農業関連ソリューションだ。TPPなどで農業強化に注目が集まる中、IT・エレクトロニクスは農業を救えるのか。CEATEC JAPANでの農業関連の出展を紹介する。