アジアのシリコンバレーを目指す、台湾桃園市が産業連携を呼びかけ:製造マネジメントニュース
台湾中央政府は「アジアシリコンバレー計画」を推進。その中心となる桃園市は、IoT分野での日台産業連携を呼びかけている。
台湾中央政府は「アジアシリコンバレー計画」を推進。その中心となる桃園市は、日本に視察団を派遣して9つの企業を訪問。IoT(モノのインターネット)分野での日台産業連携を呼びかけている。
アジアのシリコンバレーを目指す
台湾では新たな経済戦略として既存産業の付加価値向上と新産業育成を目的とした「5+2創新(イノベーション)産業」を推進。「バイオ・医薬」「アジアシリコンバレー」「スマートロボティクス」「グリーンエネルギー」「国防産業」「新農業」「循環経済」の7つの分野における新価値創出に取り組む方針である。
その中で桃園市は「アジアシリコンバレー」計画の中心を担っている。桃園市は台湾内で工業を中心として発展してきた地域で、ICT(情報通信分野)におけるハードウェアの生産で大きく成長してきた。30の工業区を整備しており、工業生産額は2014年は3兆台湾元で、台湾内で1位となっている。ただ、「モノ」から「コト」へというように製造業のビジネスモデルそのものが大きく変化しようとする中、ハードウェア生産だけでは今後の成長が見通せない状況となっている。こうした背景から、IoTなどサービス領域に拡大していく狙いである。
台湾・桃園市政府 経済発展局局長 朱松偉氏は「桃園市は工業製品の生産で大きな成長を遂げてきた。しかし、IoTなどが広がりを見せる中で、製造業もサービスビジネス化が進む見込みだ。ただ、桃園市では製造業は強いが、ソフトウェアなどの領域はそれほど強くない。こうした領域では外部からスキルを持った企業を呼び込む必要がある」と日台連携を呼び掛けている。
台湾・桃園市政府 経済発展局では「アジアシリコンバレー」計画を実現するため「アジアシリコンバレーイノベーションセンター」「IoTイノベーションセンター」「国際青年企業ビレッジ」の3つのイノベーションセンターなども設置し、日本企業の進出なども訴えた。
IoTを1つの強みとする安川情報システム
今回はこれらの日台協力などを訴えるために、特にIoT関連で特徴を持つ日本企業9社を訪問した。そのうちの1社である安川情報システムは「IoTと呼ばれる前からM2M(Machine to Machine)としてずっと取り組んできた」(安川情報システム 代表取締役社長 諸星俊男氏)とする企業である。
製品から情報を収集するためのIoTゲートウェイとして通信アダプター「MMLink-3G」などを提供する他、情報収集クラウドシステム「MMCloud」や、同システムで収集したデータを元に予兆保全を行う「MM Predict」などを展開している。
安川情報システム 執行役員 マーケティング本部長の竹原正治氏は「安川情報システムの特徴は、ワンストップでIoTの仕組みを提供できる点である。既に通信アダプターなどの生産委託を台湾で行っているが、今後は台湾向けでIoTソリューションの提案などを進めていく。日台連携なども積極的に検討していく」と述べている。
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