HILSによる故障診断機能のテスト(その1):いまさら聞けないHILS入門(11)(3/3 ページ)
車載システムの開発に不可欠なものとなっているHILSについて解説する本連載。今回は、システム構成機器の故障などの診断機能と故障発生時のセーフ機能についてのテストについて紹介します。
コントロールスイッチ異常テストの方法
コントロールスイッチ回路の故障についても同様のテストを行います。
HILSスイッチ回路は、連載第3回の図3を修正した図4を再掲します(HILS回路Aのリレー端子接続先を5V電源からGNDに修正)。この回路の状態の詳細は、正常・異常を含めて、例えば表3ようになります。
注:50Hz、60Hz接点がOFF(オープン)時に5Vになるのは、ECU内部でプルアップ回路により抵抗を介して5Vに接続されているため。
異常状態発生を可能とするために図2のユーザーインタフェース画面に50HzショートUIと60HzショートUIを作成します。ショートUIを操作すると、コントロールスイッチの状態に関係なくHILS回路をGND状態に動作させます。
テスト結果イメージを図5に示します。
図5(a)は、発電機起動前から50Hz接点回路がショートしている場合のテストを示します。HILSを動作させた直後に50HzショートUIをショートします。その後起動スイッチをオンするとすぐに、コントロールスイッチを操作する前に、パイロットランプ−レッドを点灯していることで、故障診断要件を満足しており合格と判定できます。
図5(b)は、起動後にまずコントロールスイッチで50Hz運転を選択して正常な運転状態にします。その後50HzショートUIと60HzショートUIを同時に操作してショート状態とします、60Hz入力が0Vになった直後にパイロットランプが、グリーンからレッドに変化していることで故障診断要件を満足しており合格と判定できます。
以上、スイッチ故障のテストについて説明しました。次回も引き続き、回転センサーなどセンサー類の故障診断テストについて続けます。
筆者プロフィール
高尾 英次郎(たかお えいじろう) 「HILSとTestの案内人」
1950年生まれ。岐阜大学機械工学科卒業。三菱重工で大型船のエンジン・推進装置などの修繕業務を担当の後、三菱自動車(現三菱ふそうトラック・バス)に転籍。エンジンの燃費向上・排出ガス低減研究、車両の燃費向上研究を10年余および電子実験、電子設計などを20年余担当。ITKエンジニアリングジャパンを経て、現在はHILSとHILS Testにフォーカスしたコンサルティングを行っている。
HILSとの関わりは、バス用の機械式自動トランスミッション開発中に、ECUのソフト検証用として1990年にMS-DOS PCを使ってHILSをゼロから自主開発して以来のもの。
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