オムロンが産業用コードリーダー企業を買収、製造現場のIoT化を加速:産業用画像技術
オムロンは、産業用コードリーダーの主要企業である米国マイクロスキャンシステムズを買収する。
オムロンは2017年8月30日、産業用コードリーダーの主要企業である米国マイクロスキャンシステムズ(Microscan Systems、以下マイクロスキャン)を買収することを発表した。買収完了は2017年10月上旬を予定する。
マイクロスキャンは、バーコードリーダーや2次元コードリーダー、ベリファイ機器(コード検証機器)など多様なコード読取機器を開発する産業用コードリーダー企業である。米国を中心にグローバルで事業展開を進めている。製造現場において製品に直接刻印・印字されたコードを表面の粗さや光沢、曲面などの影響を受けずに安定して読み取れる優れたアルゴリズム技術を保有していることを強みとしている。顧客企業には、ドイツのコンチネンタルや台湾のフォックスコン(鴻海精密工業)などがある。
オムロンでは、FA(Factory Automation)製品の戦略として「i-Automation」を推進。製造業のモノづくり現場の革新を推進する他、これを3つに分解した「integrated(制御進化)」「intelligent(知能化)」「interactive(人と機械の協調)」に沿った取り組みを進めている。その中で、製造現場に近い領域のポートフォリオ拡充を推進。2015年にはモーション制御機器を展開するデルタ タウ データ システムズ(Delta Tau Data Systems)と、ロボットを展開するアデプト テクノロジー(Adept Technology)を買収した他、2017年には産業用カメラを展開するセンテックを買収。そして、今回新たにマイクロスキャンを買収することを決めた。
オムロンでは今後、2次元コードの読取技術を搭載した多様なコードリーダーと制御機器を組み合わせて、オートメーション技術をさらに進化させ、業界の課題を解決するトータルソリューションパッケージの展開を目指す。さらに、両社が保有する販売網を相互に活用していく。今後展開するソリューションの例としては以下のようなパターンを想定しているという。
- 複雑に配置された複数のIDコードを簡単に安定して読み取る「ロボット連動トレーサビリティー」パッケージ
- 部品のグレードや特性に応じて部品を最適に組み合わせる「高品質モノづくり」パッケージ
- 医薬品などの各種法規制に誰でも簡単に対応可能とする「法規制・シリアライゼーション」パッケージ
- 機械のID化による予兆保全で設備の高効率稼働
- 機械と機械の情報を連結させ不良ゼロのモノづくり環境の実現
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