製造現場で働くロボット倍増へ、生産ラインの“穴”を埋める支援開始:産業用ロボット(1/4 ページ)
NEDOは、ロボットの活用・普及の促進に向けて、ユーザーニーズと市場化出口を明確にしたロボット活用技術の開発を行う。ロボット新戦略で掲げた「製造現場での産業用ロボットの導入2倍」とした目標に向け用途を明確化した支援を進めていく。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2015年8月12日、ロボットの活用・普及の促進に向けて、ユーザーニーズと市場化出口を明確にしたロボット活用技術開発に取り組むことを発表した。
労働人口不足に悩む日本における課題解決のカギを握る存在として「ロボット」に注目が集まっている。安倍政権では「日本再興戦略」の核として「ロボット革命」を掲げており、それを具現化する取り組みとして2015年1月に「ロボット新戦略」が発表された。
ロボット新戦略では、技術開発や規制緩和により2020年までにロボット市場を製造分野で現在の2倍、サービスなどの非製造分野で20倍に拡大するといった数値目標が設定されており※1)、2015年5月にはこれらを具体的に実行する団体としてロボット革命イニシアティブ協議会※2)なども発足した。
※1)関連記事:「ロボット新戦略」が生産現場にもたらす革新とは?
※2)関連記事:政府主導の“インダストリー4.0”対抗基盤「IoTによる製造ビジネス変革WG」が始動
これらの流れを受けNEDOでは「ロボット活用型市場化適用技術開発プロジェクト」(2015〜2019年度)を実施する。今回のプロジェクトでは、現状で普及が進んでいない領域の課題を明確化し、具体的な用途を明確にした開発を実施することが特徴だ。またロボット関連企業だけでなく、エンドユーザーやシステムインテグレーターなどへの支援の対象を広げていることもポイントとなる。
例えば、ロボットの活用において自動車や電気電子産業を中心に製造分野では先行してきたが、柔軟性やコストなどの面で中堅・中小企業へのロボット導入が難しかった背景がある。そのためこれらの領域には普及が進んでいない。
さらに、大企業の中でも、部品供給などの準備工程(段取り工程)については、現在も人手による作業が中心となっており、ロボット導入が進んでいない作業工程が数多く残されている。
2015年度の事業費は15億円で、各研究開発テーマの実施期間は3年以内を予定する。また、同事業の追加公募については2015年9月上旬頃に開始するとしている。
現在のところ、モノづくり分野においては6つの新規プロジェクトが採択された。具体的な研究開発項目は次ページ以降で紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.