検索
連載

日本版第4次産業革命「Connected Industries」とは?いまさら聞けない第4次産業革命(16)(2/3 ページ)

製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第16回となる今回は、日本政府が推し進める「Connected Industries」について意義などをまとめたいと思います。

Share
Tweet
LINE
Hatena

日本版第4次産業革命である「Connected Industries」

 さて、今日も矢面さんは印出さんに相談しに来たようです。

photo

印出さん、こんにちは。この前はありがとうございました。グーチョキパーツでもIoT活用の自社実践を始めることになりましたよ。


photo

まあ、すごいじゃない。大きな一歩ね。


photo

ところでこの前、勉強をしようと思って「MONOist IoT Forum」というセミナーを聞きに行ったら、登壇者の人が日本の取り組みとして「Connected Industries」というのを紹介していたんですけど、知っています?


photo

あら、もちろん知っているわよ。矢面さんも行っていた2017年3月のCeBIT会場で発表された日本版の第4次産業革命を示す取り組みよ。


photo

えー、そうだったんですか!全然知りませんでした!


 「Connected Industries(つながる産業)」は2017年3月に経済産業省が発表した日本の産業の目指す姿を示すコンセプトです※)。ドイツの「Industrie 4.0(インダストリー4.0)」、フランスでの「Industrie du Futur(産業の未来)」、中国の「中国製造2025」などのプロジェクトに当たるもので、これらの各国の取り組みに対し、日本らしさや日本独自の点などを加えた取り組みやコンセプトの総称だといえます。

※)関連記事:日本が描く産業の未来像「Connected Industries」、世界に発信へ

あらためて訴える「日本式」

 第4次産業革命は、IoTやAIなどを活用し、CPSの仕組みでデータを活用していく仕組みが基本だということは何度も紹介してきました。これが多くの産業の在り方を変革するかもしれないので「産業革命」と呼ばれているのでしたね。しかし、IoTなどを活用して取得するデータの多くは、さまざまな“現場”に存在しており、それを取得するプロセスは、日本やドイツ、フランス、中国などでそれぞれ異なっています。この日本独自のプロセスなどを取り込む形で「第4次産業革命」への動きを、まとめて説明する言葉を日本は持っていませんでした。

 特に製造業においては、日本ならではのやり方や取り組みが海外に対する競争力となっていた部分もあり、海外企業のやり方をそのまま受け入れることが、競争力の弱体化につながる懸念もありました。そのため、日本でもこうしたインダストリー4.0などをはじめとする海外のコンセプトに「対抗すべき」とした議論は3年ほど前には存在していました。

 しかし、IoTなどで描く世界が1社や1カ国で行えるものではなく「協調が必須」という状況が見えつつある中で、まずは対抗軸を築くよりも協調路線の方が重要だという論調が強くなりました。その中で、日本ではこれらに対抗する取り組みとして、経産省や総務省が「ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)」や「IoT推進コンソーシアム」などを組織し「実」を重視した取り組みを進めたという流れとなります。これらを土台として、現実的にドイツとの連携を強化したり、国内での課題の整理を行ったりしてきたわけです。

 ただ、こうした日本の取り組みは、海外から見ると全体的な取り組みが見えにくいという状況がありました。一方で、海外などでスマートファクトリーとして期待されている取り組み成果の多くは、全体的なシステム化はされていないものの、既に日本の工場でも実現できていることが多く、その日本企業の現実的な成果には多くの関心が集まっていました。

 こうした状況を受け、あらためて「日本ならでは」の部分を世界に訴えていくべきだという考えから打ち出したのが「Connected Industries」だといえるのです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る