論理的にアイデアを導き出す「演繹法」ってご存じですか?:“本当に進む”問題解決〜現場のコンサル力で事業を変える(4)(2/3 ページ)
机上の空論になりがちな「問題解決」、それを本当に進めるための“現場のコンサル力”向上のヒントをお届けする本連載。第4回では、一つのテーマからモレ・ダブりなく解決策を生み出していくための「演繹法」についてお伝えします。
上位概念から思考を分解していく「演繹法」
さて、今回からの「演繹法」ではこのMECEの関係でテーマを分解し、最終的にMECEの集合体を構成します。つまり、特定のテーマ(「〜を解決するには?」など)を最上位として、下に行くほど具体的になるような形で実現方法を出していくという形式で行うわけです。
1.テーマの直下に来る概念を検討する
これは交通手段をテーマとするなら「陸路」「海路」「空路」にあたります。
2.1がうまくいかなければ、具体的な方法を考え、その上位概念を導き出す
具体的手段としての「新幹線」「飛行機」など思いつくものを出し、その上位概念を考えるという方法です。「新幹線」の上位は「鉄道」、さらに上位は「陸路」といった形で導き出します。
3.最上位から下位に行くほど具体化するので、その具体化がアクションレベルになるまで行う
これは上位概念の具体化の繰り返しです。「鉄道」を具体化すれば「新幹線」「在来線」「寝台特急」、さらに具体化すれば「新幹線」→「のぞみ」「ひかり」「こだま」などといった形になります。
いかがでしょう? 交通手段は比較的分かりやすいテーマですが、実際の業務でこの「演繹法」を使いこなすのはより難しくなります。そこで業務で起きうる具体的な例を用いて「演繹法」のプロセスを辿ってみましょう。
「セキュリティカードの紛失を防ぐには?」
ここではIT業界で陥りがちな、「セキュリティカードの紛失を防ぐには?」を例として「演繹法」を行ってみましょう。
「セキュリティカードの紛失を防ぐには?」を構成するMECEの要素を網羅して出せと言われても、すぐに全てが出てくる人は少ないかと思いますし、漏れが出ては意味がありません。特に日頃そういったことに携わっていない人であればなおさらです。
しかし、「ストラップをつけ、首からぶら下げる」「日ごろから紛失に気を付けるように教育する」といった具体的なアイデアであればいくつか出せるのではないでしょうか。このように、最上位のテーマを構成する要素が出てこない場合には具体例から考えてみます。
さて、「ストラップをつけ、首からぶら下げる」とはどういうことでしょうか? 要するにポケットなどから不意に落ちることを防ぐために、「物理的な紛失防止策を講じる」のだと思います。ならば「社外移動時はチャックの付いたポケットにしまう」「決められた場所に保管する」なども導き出せるのではないでしょうか。
一方で「日ごろから紛失に気を付けるように教育する」はどうでしょうか。これは「社員の意識を高める」ことにつながるため、「紛失が全くない人を評価し、他の人も守りたくなるようにする」「ペナルティを設定して紛失時のマイナスをイメージさせる」などが出てくるかと思います。
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