トヨタがカーシェア事業に本腰、2017年秋からハワイの販売店でサービス開始:モビリティサービス
トヨタ自動車は、同社販売店向けのカーシェア事業用アプリを開発したと発表した。2017年7月から米国ハワイ州の販売店であるServcoと試験的な運用を開始しており、同年後半には同州ホノルルで一般顧客向けのカーシェア事業を始める。
トヨタ自動車は2017年8月16日(米国時間)、同社販売店向けのカーシェア事業用アプリを開発したと発表した。同年7月から米国ハワイ州の販売店であるServcoと試験的な運用を開始しており、同年後半には同州ホノルルで一般顧客向けのカーシェア事業を本格的に開始させる予定である。
このカーシェア事業用アプリは、スマートフォンによるドアの開閉システムである「スマートキーボックス(SKB)」を用いたドアロックの開閉などの機能に加え、事業者向けに車両管理や利用者の認証、決済サービスといった機能を有する。
トヨタ自動車は、モビリティの管理、利用、分析などさまざまな機能を包括的に備えたプラットフォームとして構築中の「モビリティ・サービス・プラットフォーム(MSPF)」の重要なアプリケーションサービスの1つとして、カーシェア事業用アプリの開発を推進してきた。なお、アプリの開発、運営は、トヨタ自動車の北米におけるコネクテッド分野の戦略事業体であるToyota Connected North America(TCNA)が、トヨタ自動車からの委託に基づき実施している。
「将来のモビリティ社会の到来に向けたグローバル基盤を整備していく」
トヨタ自動車は2016年11月、コネクテッド戦略の一環としてMSPFやSKBを発表(関連記事:トヨタのコネクテッド戦略は3本の矢、「IoT時代の製造業の在り方を切り開く」)。これらを用いたカーシェアの実証実験を、米国でカーシェア事業を手掛けるGetaroundとともに2017年1月からサンフランシスコで展開している。今回、米国ハワイ州でも実証事業を行うことで、カーシェア事業用アプリとMSPFの完成度を高めていくとしている。
トヨタ自動車 専務役員 コネクティッドカンパニープレジデントの友山茂樹氏は「今回のカーシェア事業用アプリにより、トヨタのモノづくりの強みと、地域に根ざした販売店のオペレーションを組み合わせることで、より快適なカーシェアサービスを顧客に提供できるようになると考えている」と語る。
TCNAのCEOであるザック・ヒックス(Zack Hicks)氏も「次世代のプラットフォームとしてMSPFの構築を推進することで、車両管理やカーシェア事業、ひいては将来のモビリティ社会の到来に向けたグローバル基盤を整備していく。高性能で柔軟なプラットフォームを用いてビジネスチャンスを発掘し、地域ごとに最適化したモビリティ事業の展開をサポートしていきたい」と述べている。
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