製造業や建設業のVR活用に最適なバックパックPC、GPUは「Quadro P5200」:VRニュース
HPは「世界初」(同社)とするプロフェッショナルVR(仮想現実)向けバックパックPC「HP Z VR Backpack」を発表した。PC本体や電池などを背負えるように一体化したバックパックPCの1種だが、VRシステムをビジネス利用する上で最適な仕様に仕上げている。
HPは2017年8月1日(現地時間)、「世界初」(同社)とするプロフェッショナルVR(仮想現実)向けバックパックPC「HP Z VR Backpack」を発表した。PC本体や電池などを背負えるように一体化したバックパックPCの1種だが、VRシステムをビジネス利用する上で最適な仕様に仕上げた。自動車などの製品設計、建築、ヘルスケア、トレーニングなどB2B分野でのVRシステムの活用を目指す顧客を対象とする。同年9月発売予定で、価格は3299米ドルから。
製造業や建設業をはじめ、VRシステムのビジネス利用に向けた模索が始まっている。その中で大きな制約になっているのが、VRシステムのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)とPCを接続するケーブルの存在だ。ケーブルの取り回しが面倒だったり、VR空間で移動する際の邪魔になったりなど、使い勝手の面で課題になっていた。
この課題は、HMDと接続するPCを背負ってしまえば解決できる。コンシューマー向けではこの“背負えるPC”であるバックパックPCが幾つか発売されているが、ビジネス利用を前提とする顧客向けの仕様やサポート体制などが十分とはいえなかった。
HP Z VR Backpackは、エルゴノミクス(人間工学)デザインによる一体感や、つなぎ換えが可能なバッテリーによる連続稼働により、VR空間への没入経験(Immersive Experience)を阻害しないバックパックPCとなっている。ワークステーション「HP Zシリーズ」に連なる製品であり、Intel(インテル)のプロセッサ「Core i7 vPro」や、16GBのビデオメモリを持つNVIDIAのGPUボード「Quadro P5200」を搭載している。ウルトラハイエンドのGPUボードに位置付けられる「Quadro Pシリーズ」の1つであるQuadro P5200は、HP Z VR Backpackが初採用となる。OSは「Windows 10 Pro」で、メインメモリはDDR4SDRAMを32GB搭載している。
外形寸法は33.3×22.6×6.09cmで重量は4.6kg。なお、既に発売されているバックパックPCの重量はMSIの「VR One」が3.6kg、ZOTACの「VR GO」が4.9kgとなっている。
HP Z VR Backpackを接続してデスクトップPCとして利用できるようにするドッキングステーションも付属する。別売りではあるものの、HTCのVRシステム「Vive」のビジネス利用版であるビジネスエディションをHPのVRポートフォリオであるとして推奨している。
VRのサポート拠点を世界13カ所に開設、東京にも
またHPは、VRシステムのビジネス利用を目的とした顧客の長期サポートに対応する拠点を世界全域に設けることも明らかにしている。拠点は、米国のパロアルト、ヒューストン、ボイジー、フォートコリンズ、スウェーデンのストックホルム、英国のロンドン、フランスのパリ、スペインのバルセロナ、ドイツのベーブリンゲン、中国の北京、オーストラリアのシドニー、シンガポール、そして東京の13カ所である。
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