オムロンが立ち上げるのは“標高10m以下”の最もエッジ寄りなIoT基盤:スマートファクトリー(2/2 ページ)
オムロンは新たに制御と情報を融合し製造現場の「知能化」を加速させるIoTサービス基盤「i-BELT」を2017年10月に立ち上げる。乱立するIoT基盤とは「競合しない」(同社)とし、最もエッジ寄りのIoT基盤として展開を進める方針だ。
「他のIoTプラットフォームとも競合するつもりはない」
「i-BELT」は「AIコントローラー」が1つの核となる。2017年10月の「i-BELT」の最初の展開は「AIコントローラー」にデータを整理するフォーマット化のソフトウェアを組み込んだ「IoTスタートパッケージ」をリリースし、そこから開始する。その後、2018年3月までにこの「IoTスタートパッケージ」の機能拡充を進める。さらに、パートナーとなる接続機器メーカーを拡大する。そして2018年4月から機器制御アプリを順次リリースしていく計画としている。
「『i-BELT』をオムロンのためだけのものとしていくつもりはない。オムロン以外のパートナーにも入ってもらいユーザーの利点につながるようなオープンな形を目指す。コアパートナーは30社くらいは入ってもらい、一緒に組んで取り組みを進めていく」と宮永氏は考えを示している。
2016年以降ITベンダーや制御ベンダーなどさまざまな企業が展開する「IoTプラットフォーム」が乱立している状況だ。エッジ領域を対象としたIoTプラットフォームとしても、ファナックが展開する「FIELD system」や三菱電機が展開する「FA-ITオープンプラットフォーム」などが既に存在している。
これらとの位置付けの違いについて宮永氏は「競合する部分はゼロではないが、基本的には競合していくものではないと考えている。オムロンが狙っているのは生産領域における“標高10m”以下の領域であり、『i-BELT』も現場でIoTを活用できるようにする基盤を目指しているからだ。他のエッジ領域のIoTプラットフォームについても、並び立って競う形ではなく上下の形で住み分けることができる。API(Application Programming Interface)開発などこうしたプラットフォームとの連携も視野には入れている」と述べている。
高度10m以下のIoT基盤
オムロンでは以前から製造業のIoTについて「標高10m以下」が対象だと強調してきた。これは、生産現場を支える情報システムを高度に例えたもので、ITベンダーが取り組む基幹系や上位系のシステムは現場を俯瞰して見る高度100m以上の世界としている。一方で、現場の情報を取りまとめ上位系システムとの連携を実現する産業用PCレベルの高さを10mレベルとし、センサーや製造装置の個々のデバイスレベルが0〜1mとなる。この10m以下の領域で強みを発揮するのがオムロンというわけである。
「i-BELT」はこの10m以下を対象としたIoT基盤であるため、10m以上を対象としている他のプラットフォームとは競合しないというのが宮永氏の考えである。「オムロンはエッジ領域での製品群を20万種以上展開しており、10m以下に特化することで特徴を発揮できる。他のプラットフォームとはむしろ連携していくことで、ユーザー企業に新たな価値をもたらすことができる」と宮永氏はプラットフォーム間の展開について述べている。
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