クボタはIoT活用で農家の「所得倍増」に貢献する:製造業×IoT キーマンインタビュー(4/4 ページ)
日本を代表する農機メーカーのクボタは、農機にIoTを組み合わせる「スマート農業」で成果を上げている。このスマート農業によって「もうかる農業」を実現し、農家の「所得倍増」に貢献していくという。同社 専務執行役員 研究開発本部長の飯田聡氏に話を聞いた。
日本型農業のIoT活用を中国や東南アジアに展開
MONOist 農業分野では海外の農機メーカーの方がIoT活用で進んでいるという意見もあります。
飯田氏 クボタの取り組みは国内農機メーカーとしてはトップレベルだと確信している。確かに、欧米型農業へのIoT活用では海外大手の方が進んでいるかもしれない。しかし、日本型農業ではクボタの方がはるかに進んでいる。日本型農業のIoT活用は、中国や東南アジアにも展開できるので、今後の海外展開にもつながるだろう。
KSASには、顧客である農家から生の情報が得られる意味合いも大きい。この生の情報を生産や開発に生かす。顧客が望む製品を早く届ける上でIoTはとても重要だ。製品開発とサービス提供のループを作っていかなければ“生きたIoTの使い方”にはならないだろう。そういった取り組みも3〜5年でまとめて進めていく。
MONOist 農業分野だけでなく、水環境分野でもIoT活用を進めているそうですね。
飯田氏 クボタは水道から下水処理まで一連の機器やシステムを販売しており、ごみ処理関連も手掛けている。中でも水道用鉄管の国内シェアは6割に達する。
この水環境分野も、農業と同様に今後の日本の課題になると考えている。そこで、工場やプラントの遠隔監視や診断に有効な「KSIS(クボタスマートインフラストラクチャシステム)」の展開を2017年4月から開始した。KSASでのノウハウを生かして、顧客の課題解決に貢献したい。
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