トポロジー最適化だけじゃない、将来はIoTでコンピュータが自発的にデザイン:CADニュース(2/2 ページ)
オートデスクは同社が研究中である新モデリング技術のジェネレーティブデザイン(自己生成的デザイン)について、概要やパートナーとの開発事例について紹介した。同社の新しいオフィスのレイアウト検討でも、研究の一環としてジェネレーティブデザインを利用した。IoTの仕組みで取得したビッグデータも活用できるよう研究中だという。
Project Dreamcatcherとは
オートデスクの研究プロジェクトである「Project Dreamcatcher」では、自動車や航空機を中心としたメーカーと共に次世代の設計・モデリング技術を研究・開発している。ジェネレーティブデザインはこのプロジェクトから生まれた技術である。
航空機メーカー エアバスのキャビン用パーティション「バイオニック パーティション(間仕切り)」は、ジェネレーティブデザインを用いてオートデスクと共に開発している。こちらは3Dプリンタで製作される。従来の設計と比較して45%の軽量化を実現したことで、CO2排出量を毎年46万5000トン削減できると試算しているという。旅客機の「A380」でこのパーティションを採用する予定で、現在も試験中ということだ。2017年内の実用化を予定している。
自動車・航空機の他、スポーツアパレルのメーカーであるアンダーアーマーもオートデスクの研究開発に参画している。オートデスクと共に、ジェネレーティブデザインを用いてアスリートのトレーニング用フットウェア「UA Architech」を開発。アスリートの筋力トレーニングに必要なクッション性や安定性、軽量化を実現するために、ミッドソールにラティス(格子)構造を採用。3Dプリントで製造して販売している。
ちなみにドリームキャッチャー(Dreamcatcher)とは、円形の網状の装飾品で、北米先住民のお守りの一種。枕元に下げておくと、悪い夢を網に引っかけ、よい夢だけを通すといわれている。
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