第4次産業革命が生みだす「つながる産業」、3つのWGが目指すもの(前編):製造業IoT(4/4 ページ)
ロボット革命イニシアティブ協議会は2017年6月に3つのワーキンググループの活動報告と2017年度の取り組み方針について紹介した。本稿では前編で「IoTによる製造ビジネス変革WG」と同WGのサブWG活動内容を、後編で「ロボット利活用推進WG」と「ロボットイノベーションWG」の活動の様子を紹介する。
2017年度は中長期を視野に入れた活動を強化
RRI WG1の2017年度の取り組みについては、あらためて中長期を視野に入れた取り組みを進めていく方針。主に「システムアプローチ」「体制強化」「工業会他との連携」の3つに取り組む。
「システムアプローチ」については、2035年の製造業の将来像を構築し、そこからバックキャスト型のアプローチで必要な技術や規制緩和などを考えていく。そのための土台になる2035年の将来像と2025年の中間像を2017年度中に作成し、これらに必要となる要件などの議論が進められるようにする。国際標準化、産業セキュリティ、人材育成、研究開発などを対象とする。
「体制強化」については、新たにAG内に産業セキュリティAGを設置した他、アドバイザリーボード内に、情報マーケティングや調査研究を行うインテリジェンス機能、工業会などと連携する国内連携機能、広報などを行うPR機能を行う部門を設置。具体的な課題解決に向けた体制を構築する。また、国際標準化については国際標準化活動事務局を設置し国内外との連携を進めていく。
新設した産業セキュリティAGは、横浜国立大学教授の松本勉氏を主査とし、ドイツのプラットフォームインダストリー4.0との連携などを進めながら、日本のユーザーの具体的なユースケースのリスク分析から従来の情報・制御セキュリティとの違いを明確化しつつ整理を進めていくとしている。報告書やガイドラインの方針策定、日独連携方針のペーパーなどを成果目標と置いている。
国際標準化事務局については、2017年度に設置が想定されるIEC(国際電気標準会議)のスマートマニュファクチャリングシステム委員会の国内事務局機能をRRI事務局が担う。国際規則に基づく国内委員会の立ち上げや、関連主要規格の委員会事務局などとの定期的連絡会の立ち上げなどを実施する。
「工業会他との連携」については、日本電機工業会(JEMA)や日本電気制御機器工業会(NECA)、日本機械工業連合会や日本工作機械工業会、日本ロボット工業会、電子情報技術産業協会(JEITA)、日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、日本機械学会、日本商工会議所など、各種業界団体との連携を目指す。具体的には2017年度中に20団体との連携を実現するとしている。
第4次産業革命などの動きの中では、共通の課題も多いが、既存の体制では業界団体同士の連携は難しい。RRIが窓口となることで、相互連携の環境を作り出し、各業界共通の「日本の強み」を世界に発信していきたい狙いである。
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