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日本一の生協・コープさっぽろが誇る“シンの”トヨタ生産方式のヒミツとは鈴村道場(6)(1/3 ページ)

トヨタ生産方式の達人・鈴村尚久氏による連載コラム「鈴村道場」。今回からは、前回解説した“シンの”トヨタ生産方式の実践事例を紹介する。今や日本一の生協となった北海道の「コープさっぽろ」だが、2000年頃に迎えた存続の危機から救ったのが“シンの”トヨタ生産方式だった。

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 前回まで5回にわたり、私の経営改善手法の本質について説明をしてきました。今回からは、実際に適用した実践事例について具体的に解説していきます。まず、北海道を中心に展開している「コープさっぽろ石狩工場」での実践事例をご紹介します。

1.導入の背景

 コープさっぽろは北海道全域に対し展開している生活協同組合です。北海道のほぼ全域で160万人に対し、カタログで注文いただいた商品をお客さま(組合員)に直接お届けする「宅配事業」と道内各地の108店舗での「おいしいお店」をコンセプトにした「店舗事業」を中心にしております。「食の安全」「暮らしの安全」を目指し道民の生活を支える各種事業に率先して取り組み続けた結果、今や年間の売上高は2678億4827万円(2016年3月期実績)と日本一の生活協同組合に成長しています。

 この生活協同組合もかつては存続の危機に陥った時期がありました。2000年頃には宅配事業が伸び悩んでいました。当時専務に就任したばかりの大見英明氏(現理事長)は、店舗での豆腐の廃棄が多いのに頭を悩ましていました。現地現物を確認するため、店舗と生産の現場である石狩工場を視察に行きました。その製造現場を目の当たりにし生産方法のひどさに驚きました。

 大見氏の父上はトヨタの自動車製造現場で働いており、「カイゼン」や「QC活動」といった言葉に慣れ親しみ育ちました。石狩工場の現場ではそんな「カイゼン」や「QC活動」といったムダを排除する文化が全くなかったのです。

 すぐに大見氏は日本全国の経営者の知人をあたり、トヨタ生産方式の達人を探しました。そこで出会ったのが私(編注:筆者の鈴村尚久氏)ということだそうです。この話は大見氏から後で聞いて知ったことです。

図1
図1 コープさっぽろの石狩工場

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