富士通の自動車向けOTA、10年間5000万台のケータイで培った実績を生かす:車載情報機器
富士通は、ユーザーイベント「富士通フォーラム2017 東京」において、無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)のデモンストレーションを実施した。
富士通は、ユーザーイベント「富士通フォーラム2017 東京」(2017年5月18〜19日、東京国際フォーラム)において、無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)のデモンストレーションを実施した。
同社は、企業が社員に配布する業務用携帯端末を一括管理するシステムを手掛けるVMwareとOTAで協業することを発表しており、デモンストレーションは両社で共同開発したもの。また、富士通が10年以上、累計5000万台にわたって実施してきた携携帯電話機向けのソフトウェア更新の知見も盛り込む。
OTAに必要な基盤はRobert Bosch(ボッシュ)や日立グループなどサプライヤー各社が自動車メーカーに提供しようとしている。富士通はVMwareとともに、携帯電話機での実績を強みとして提案していく。
VMwareの構成管理のノウハウを反映
OTA管理用画面から2つのECUのソフトウェア書き換えを実演した。VMwareの構成管理のノウハウを基に、OTA管理者にとってソフトウェアのバージョンや対象となるモデルを確認しやすい画面とした。
画面上では更新を行うECUのソフトウェアのバージョンや更新内容に加えて、OTAを実施する条件(エンジンオフ、バッテリー残量)などを表示。更新対象のECUを搭載したモデルとその販売地域、年式、台数が一覧で示され、管理者はOTAの実施対象を選択する。
OTAを実行する前にクラウド上のシミュレーションで、更新にかかる時間や、更新するECUとその他のECUの相関関係を検証する。関連してソフトウェア更新が必要なECUを画面上で示し、目的のECUと同時に更新できるようにする。また、更新内容に合わせてソフトウェアを全て書き換えるか、差分のみの更新とするかを検証し、最適な更新法をOTA管理者に提案する。
OTA管理者が選択したモデルの、対象のECUに最適な更新法を実施するよう設定した後でOTAが実行される形だ。ソフトウェアの差分を抽出するエンジンは携帯電話機の開発で培った技術をベースとしている。OTAの一連の工程で外部から内容が改ざんされていないことを示す証明書も発行する。シミュレーションした上でOTAを実行するのは「クルマは更新に失敗することが許されないのでリハーサルすることが必要」(説明員)だという。
デモンストレーションでは1分程度の所要時間で、先進運転支援システム(ADAS)のセンサーECUと制御ECUのソフトウェアを差分更新で書き換えた。
いる場所に合わせて最適なサービスを提供
GPSやビーコンの位置情報や時刻、利用者の属性に合わせてアプリを自動で提供するサービス基盤も紹介した。アプリ利用者はその時に最適なサービスを受けられる。
既に富山県のとやま観光推進機構で採用実績があり、長野県で開催される野外スポーツイベント向けにも提供する。ユーザーの現在地を基に周辺の施設の情報に切り替えて配信するほか、アプリ利用者の行動や操作履歴を分析することによりマーケティングにも活用できるようにする。特定の地域内でのみ有効なアプリも提供できる。スマートフォンのアプリ向けのサービス基盤だが、車載情報機器にも向きそうだ。
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