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東芝が再生に向けて社内カンパニーを会社分割、課題のガバナンスは強化できるか製造マネジメントニュース

東芝は、原子力関連事業に端を発した経営危機からのグループ再生に向け、4つの社内カンパニーを分社化する基本方針を決定。経営危機を招いたガバナンス欠如への対策として、二重三重でガバナンス強化に努める姿勢が打ち出した。

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 東芝は2017年4月24日、原子力関連事業に端を発した経営危機からのグループ再生に向け、4つの社内カンパニーを分社化する基本方針を決定したと発表した。同年7月1日付で、インフラシステムソリューション社、ストレージ&デバイスソリューション社、インダストリアルICTソリューション社を会社分割により独立させる。また2月に社長直轄となったばかりの原子力関連事業については、エネルギーシステムソリューション社と併せて10月1日付で会社分割する計画だ。

 分社後の各事業会社は、グループ内の連携を強化しつつ、それぞれの事業会社の事業価値最大化に特化するとともに、特定建設業の許可維持などの事業継続性も踏まえた最適な体制を確立する。コーポレート部門は、東芝グループ全体の企業価値最大化とガバナンス強化に特化する方針。

 2015〜2016年度にかけての東芝の経営危機は、つまるところ企業ガバナンスの欠如が最大の理由になっている。今回の会社分割の発表文では、「コーポレート部門については、東芝グループ全体の企業価値最大化とガバナンス強化に特化」「分社後の各事業会社は(中略)事業特性や外部環境に応じた内部管理体制の構築や直接的な外部監査の適用によるガバナンス・リスク管理の深化を進め、事業会社内および傘下会社に対するガバナンス強化に継続して取り組む」となっており、二重三重でのガバナンス強化に努める姿勢が打ち出されている。

会社分割前と後の東芝グループの体制
会社分割前と後の東芝グループの体制 出典:東芝

 インフラシステムソリューション社は、社会インフラ事業における一部の据付工事/電気工事、保守/点検サービス機能を担い、特定建設業の許可を有する東芝電機サービスと一体化する。事業の承継会社も東芝電機サービスになる。事業規模は、2015年度が売上高1兆3546億円、営業利益が74億円の赤字、2016年度の第3四半期までの9カ月累計では、売上高8385億円、営業利益が215億円となっている。

 ストレージ&デバイスソリューション社は、2017年4月1日に設立したメモリ事業を扱う東芝メモリ以外の、ディスクリート半導体、システムLSI、HDDといった電子デバイス事業を新会社に承継する。事業規模は、2015年度が売上高1兆5759億円、営業利益が1000億円の赤字、2016年度の第3四半期までの9カ月累計では、売上高1兆2423億円、営業利益が1546億円だが、この数字には承継対象にならないメモリ事業の業績が含まれている。

 インダストリアルICT社は、ICTソリューション事業における関連工事を担い、特定建設業の許可を有する東芝ソリューションと一体化する。事業の承継会社も東芝ソリューションになる。事業規模は、2015年度が売上高2568億円、営業利益が87億円、2016年度の第3四半期までの9カ月累計では、売上高1618億円、営業利益が80億円となっている。

 原子力事業統括部と併せて会社分割するエネルギーシステムソリューション社は、新会社にそれぞれの事業を移管し、新会社において特定建設業の許可を取得する。事業規模は、2015年度が売上高1兆5842億円、営業利益が3463億円の赤字、2016年度の第3四半期までの9カ月累計では、売上高1兆857億円、営業利益が7598億円の赤字となっている。この数字には、承継対象にならないとともに、既に破産手続きを始めている海外子会社ウェスチングハウス(WEC)などの業績が含まれている。

 なお、インフラシステムソリューション社、ストレージ&デバイスソリューション社、インダストリアルICTソリューション社の会社分割は簡易吸収分割により実施する。一方、エネルギーシステムソリューション社と原子力事業統括部の会社分割は、2017年6月下旬の定時株主総会での承認決議を得てから実施する。

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