MSとユニアデックス、ドコモがIoTサービスを共同開発、椿本チエインが採用へ:製造業IoT
日本マイクロソフト、ユニアデックス、NTTドコモは、法人向けIoTビジネスの拡大に向けた営業活動及び新たなソリューション開発における協業を開始すると発表した。3社で共同開発中のセキュアなIoTパッケージサービスを2017年9月に発売し、このサービスによって2020年度までに1000万台のIoT機器の接続を目指す。
日本マイクロソフト、ユニアデックス、NTTドコモは2017年4月21日、法人向けIoT(モノのインターネット)ビジネスの拡大に向けた営業活動及び新たなソリューション開発における協業を開始すると発表した。3社で共同開発中のセキュアなIoTパッケージサービスを同年9月に発売し、このサービスによって2020年度までに1000万台のIoT機器の接続を目指す。
このIoTパッケージサービスは、日本マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure(以下、Azure)」、ユニアデックスの「IoTビジネスプラットフォーム」、NTTドコモの「docomo M2Mプラットフォーム」を連携したものだ。センサー機器などから収集したデータを、docomo M2Mプラットフォームを介してモバイル回線で閉域網接続し、セキュアなネットワークを利用して送信する。送信後のデータはAzureに蓄積され、IoTビジネスプラットフォーム上で可視化する。
AzureとNTTドコモのモバイルネットワークを閉域網で接続しているので、工場に設置した機械から収集した機密情報や、ヘルスケアサービスで取得した個人情報などをセキュアな環境でクラウド上に送信することができる。Azureの機械学習やIoT向けの機能を活用すれば、可視化する内容をあらかじめ選んでおいて、機器から取得したデータをワンストップで確認することも可能だ。
今後3社はこのIoTパッケージサービスを通じて、製造業とヘルスケア事業向けの新たなサービスの開発/検討も進めていく。製造業では、製造設備の見える化に加え、作業員の動きや体調をデータ化するなどの総合的な生産性向上に向けたサービスを検討する。ヘルスケア事業では、介護や医療現場における需要拡大/人手不足という現状に対し、IoTを活用して患者の日常の健康状態や変化などを自動的に把握することで、地方創生や社会的課題の解決につながるサービスの開発や導入推進に取り組んでいくとしている。
なお、このIoTパッケージサービスは「第6回 IoT/M2M展」(2017年5月10〜12日、東京ビッグサイト)のNTTドコモブースで紹介する予定だ。
椿本チエインの遠隔監視システムでPLCデータを見える化
発表文では、導入イメージとして、産業用チェーン世界最大手の椿本チエインの事例が紹介されている。
椿本チエインは、ユニアデックスの「IoTエコシステムラボ」における共働PoC(概念検証)活動を通じて、機械に取り付けられたPLCからのデータを基に、生産現場における生産工程を可視化した。
具体的には、グループ企業であるツバキE&Mの生産工程(減速機用歯車製作ラインのシェービング工程)において、これまでは現場担当者が目視などで確認していた稼働状態、異常発生などについて、機器に取り付けられたPLCからのデータを椿本チエインの遠隔監視システム「MitaMon」と連携することで定量的に把握する仕組みを実現したという。
PLCからのデータ収集/可視化の仕組みは、生産ラインにある全ての機械に取り付けられておらず、現状は一部の機械で効果を確認した状況だ。今後は、PLC非対応の機械や他工場への展開にむけて、機密情報の通信におけるセキュアなネットワーク利用が可能で、自社構築するよりも導入/運用コストが掛からない、3社共同開発のIoTパッケージサービスの導入を検討する予定である。
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