MotoGPレーシングバイクにIoTセンサーを装着し、テストに活用:製造IT導入事例
アクセンチュアは、Ducatiのオートバイレース部門であるDucati Corseと協力し、IoTと人工知能関連技術をMotoGP世界選手権に参戦するレーシングバイクのテストに活用している。
アクセンチュアは2017年2月27日、イタリアDucati(ドゥカティ)のオートバイレース部門であるDucati Corseと協力し、MotoGP世界選手権に参戦するDucatiチームの公式デジタルパートナーとして、IoT(モノのインターネット)と人工知能関連技術をレーシングバイクのテストに活用していると発表した。従来のトラックテストに要した時間、コスト、労力の削減が可能になる。
この取り組みでは、MotoGPレーシングバイクに100個のIoTセンサーを装着。特別な分析エンジンを用いて、レーシングバイクのテストでの作業の効率化とコスト削減、有効性の向上に取り組んでいる。機械学習技術により、システムに取り込まれるデータ量が増えるほど、テスト時の最適なコンフィギュレーションを予測する精度を向上させることができる。また、直感的なデータ可視化ツールにより、微調整しながらコンフィギュレーションやレースタイムに関する新たな知見を得ることが可能だ。
アクセンチュアが開発したソリューションによりDucatiチームのエンジニアは、IoTセンサーが集めたデータと既存のデータを活用し、さまざまなコンディションでのシミュレーションによってバイクの性能を評価できる。さらに、アナリティクスや機械学習技術を活用し、過去のテストデータからレース結果のシミュレーションを行い、バイクのコンフィギュレーションを最適化できる。
同ソリューションを利用することで、これまで以上に多くの設定を検証し、実際のトラック上でのテストを最大限活用することができる。その結果、従来トラックテストに要していた時間、コスト、労力を最小限に抑えることができる。
Ducatiチームは、今後このソリューションをより幅広い領域で展開する計画だ。また、テストにおけるエンジン運転パラメータ、速度、回転数、タイヤ/ブレーキ温度などのデータを集めており、MotoGPレースのプランニング、準備、テスト走行における活用を予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 製造業で人工知能はどう使うべきなのか
日本IBMとソフトバンクは、自然対話型人工知能「ワトソン(Watson)」の日本語版の提供を開始する。自然言語分類や対話、検索およびランク付け、文書変換など6つのアプリケーションをサービスとして展開する。 - 人工知能は製造現場でどう役に立つのか
人間の知的活動を代替するといわれる人工知能が大きな注目を集めている。ただ、製造現場で「使える」人工知能は、一般的に言われているような大規模演算が必要なものではない。「使える人工知能」に向けていち早く実現へと踏み出しているファナックとPFNの取り組みを紹介する。 - シンギュラリティは今の人工知能技術の先にはない――ガートナー
ガートナージャパンは、2017年における戦略的テクノロジートレンドのトップ10を発表。3つの傾向として「デジタルメッシュ」「どこでもインテリジェンスとなる世界」「デジタルプラットフォーム革命」を挙げている。 - 「大人」の人工知能が製造業を革新するのは2030年以降
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2016年4月21日に会見を開き、今後の人工知能技術の進展と、その発展が産業分野にもたらす影響を予測した「次世代人工知能技術社会実装ビジョン」を公表した。 - 三菱電機の人工知能は「エッジに賢くコンパクトに載せる」
三菱電機は、神奈川県鎌倉市に拠点を構える情報技術総合研究所とデザイン研究所の報道陣向け視察会を開催。情報技術総合研究所 所長の中川路哲男氏は、同社の人工知能(AI)の開発方針について「エッジに賢くコンパクトに載せる」と説明した。