自動運転の宅配「ロボネコヤマト」、まずは非対面の荷物受取から実用実験:製造業IoT(2/2 ページ)
DeNAとヤマト運輸は、2017年4月17日から2018年3月31日まで神奈川県藤沢市内の鵠沼海岸、辻堂東海岸、本鵠沼の3エリアで、自動運転社会を見据えた「ロボネコヤマト」プロジェクトの実用実験を始める。まずは、非対面型受け取りサービスの検証が実験の中核となる。
「どこの自動運転技術を使うかは決めていない」
両社は2016年7月にロボネコヤマトを発表(関連記事:自動運転宅配サービス「ロボネコヤマト」はなぜ“実用実験”なのか)。それから、国家戦略特区での実施に向けて、関係各省庁や実用実験を行う地元地域との調整を重ねてきた。
ヤマト運輸 常務執行役員の阿波誠一氏は「DeNAの最新ITと物流の融合により、宅配サービスのラストワンマイルのオンデマンド化を目指してきた。最終的な目標として自動運転を活用していきたいと考えているが、まずは荷物を屋外で受け取る、非対面で受け取るというサービスをどのように使っていただけるかについて確認していきたい」と語る。
DeNA 執行役員 オートモーティブ事業部長の中島宏氏は「今回の実用実験は何より地元の支援があってのもの。ここ藤沢市から新しい取り組みが始まる」と意気込む。
ロボネコヤマトは、高齢化社会によって今後の人手不足が見込まれ、顧客のニーズも多様化する中で、新しいテクノロジーを適用することで課題の解決を目指すプロジェクトになっている。宅配サービスの従業員には、配送車の運転、荷運び、顧客とのコミュニケーションといったさまざまなスキルが求められるが、ロボネコヤマトが実用実験で行う、非対面の荷物受け取りや自動運転が実用化できれば「スキルを前提としない雇用拡大が可能になる。また働く人がいない過疎地であれば、無人オペレーションによってサービスを提供できる」(中島氏)という。
藤沢市といえば、DeNAも関わった自動運転タクシー「ロボットタクシー」の公道での実証実験を2016年に行ったことで知られている。今回の実用実験は、鵠沼海岸、辻堂東海岸、本鵠沼の住民と半年間の話し合いを重ねて実施に至った。「藤沢市は自動運転との共生を考えている」(藤沢市長の鈴木恒夫氏)という。また藤沢市が、「ロボネコヤマトの2つのサービスが対象とする、高齢者や両親とも働くファミリー世帯の比率が高いことも選定の理由になった」(阿波氏)。
ロボネコストアは、3エリアの地元の24店舗が参加する予定。サービス開始の4月17日時点では12店舗が参加し、その後増やしていくことになる。藤沢市商店会連合会 理事長の齋藤光久氏は「現時点で商店街から人がいなくなっているわけではないが、このまま放っておけば商店街がシュリンクしていくことは確かだと感じている。今回のように将来必要になることにトライすることは必要だし、商店街の活性化につながればこれほどうれしいことはない」と述べる。
なお、ロボネコヤマトへの自動運転技術導入のロードマップについては「2018年に高度な自動運転を部分的に入れていくが、導入ステップが明確には決めていない。どこの自動運転技術を使うかも決めていない」(中島氏)。
DeNAは2017年1月、日産自動車と、自動運転車を活用した新たな交通サービスのプラットフォームを開発することで合意したと発表している(関連記事:DeNAが日産と自動運転サービスで協業、ZMPとは“運営方針の違い”で提携解消。ロボネコヤマトの専用車両は、日産自動車の商用電気自動車「e-NV200」がベース車になっていることもあって、日産自動車の自動運転技術の活用が前提になっているとも受け取れる。しかし中島氏は「e-NV200はあくまで購入品であり、現時点で日産自動車からの協力は得ていない」と強調した。
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