カーボンファイバーを織り込める3Dプリンタ、自由な造形で剛性も確保:名古屋ものづくりワールド 2017
ファソテックは「第2回 名古屋ものづくりワールド」においてトヨタケーラムブースに出展し、樹脂にカーボンファイバーを織り込んで造形できる米国Markforged製のコンポジット造形3Dプリンタを紹介した。
ファソテックは「第2回 名古屋ものづくりワールド」(2017年4月12〜14日、名古屋ポートメッセ)においてトヨタケーラムブースに出展し、樹脂にカーボンファイバーを織り込んで造形できる米国Markforged製のコンポジット(炭素繊維複合材)造形3Dプリンタ「The Mark Two」を紹介した。
Markforgedは2014年に創業した3Dプリンタベンチャー企業である。同社の特徴が、コンポジット造形3Dプリンタである。コンポジット造形3Dプリンタは、航空機やレースカーなどの軽量化で注目される長繊維カーボンを樹脂に織り込んで造形する3Dプリンタである。
出展した「The Mark Two」は、「FDMのプリントヘッド」と、カーボンファイバー用の「特殊なカッターを組み込んだヘッド」のデュアルヘッドシステムにより、カーボンファイバーを織り込んだ樹脂成形が可能。アルミニウム相当の堅牢で軽量な部品を造形できるという。カーボン含有のフィラメントではなく、特許である一続きのカーボンファイバーフィラメントで造形するため、カーボンファイバーの特性を発揮する。
Markforgedの日本における販売代理店であるファソテックのCAE&AM開発センター AM開発グループ マネージャーの小西健彦氏は「樹脂型3Dプリンタの弱点でもある剛性の部分をカーボンファイバーを織り込むことで解決しているため、コンポジット造形3Dプリンタは試作用途だけでなく、最終製品などにも利用可能だ。既に工場内のロボットハンドや治具など、自由な造形と剛性が両方必要な領域で導入が進んでおり、最終製品の製造などにも引き合いが来ている。剛性と軽量性の両方が魅力だ」と価値について述べている。
現状では成形のスピードが課題だというが、小西氏は「『The Mark Two』は1台が200万円程度とそれほど高額ではなく、スピードがボトルネックであるならば、複数台を同時に稼働させることで解決することなども可能だ」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “氷上のF1”ボブスレー、高速滑走支える3次元CAD
米ソリッドワークスが開催中のプライベートイベント「SolidWorks World 2014」2日目の基調講演では、ソチオリンピックのボブスレーで、米国チームが使用するソリの開発者が登壇した。その他、8本の足で自在に動き回るクモ型ロボットや、カーボンファイバで印刷できる3Dプリンタの設計者も事例を紹介した。 - いまさら聞けない 3Dプリンタ入門
「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。 - 1000万色フルカラー3Dプリンタがついに発売へ、印刷業界で培った色表現に優位性
ミマキエンジニアリングがUV硬化インクジェット方式3Dプリンタ「3DUJ-P(仮)」を2017年内に発売する。広告や看板などに用いられる2Dの産業用プリンタで培った技術を基に、3Dプリンタでありながら1000万色以上のフルカラー造形を実現した。本体価格は1500万〜2000万円を想定している。 - 3Dプリンタ“ブーム”は終えんも、製造業の活用は着実に拡大へ
IDC Japanは、国内3Dプリンティング市場の2013〜2015年の実績と2020年までの予測を発表した。一般消費者向けのデスクトップ3Dプリンタ市場は、ブームの終えんによって縮小したものの、企業ユーザー向けのプロフェッショナル3Dプリンタ市場と付随する関連サービスと3次元造形材料の市場は今後も着実に拡大するという。 - 「単なる試作機器や製造設備で終わらせないためには?」――今、求められる3Dプリンタの真価と進化
作られるモノ(対象)のイメージを変えないまま、従来通り、試作機器や製造設備として使っているだけでは、3Dプリンタの可能性はこれ以上広がらない。特に“カタチ”のプリントだけでなく、ITとも連動する“機能”のプリントへ歩みを進めなければ先はない。3Dプリンタブームが落ち着きを見せ、一般消費者も過度な期待から冷静な目で今後の動向を見守っている。こうした現状の中、慶應義塾大学 環境情報学部 准教授の田中浩也氏は、3Dプリンタ/3Dデータの新たな利活用に向けた、次なる取り組みを着々と始めている。 - 3Dプリンタの“脱・試作”は日本式モノづくりでこそ生きる――GE 刈羽工場
“夢の製造装置”として期待を集める3Dプリンタ。しかし、描いた夢とは裏腹に、いまだに20年前から定着する試作品用装置の域を抜け出せずにいる。こうした中でいち早く金属3Dプリンタでの最終製品製造に取り組む工場がある。新潟県刈羽郡刈羽村のGEオイル&ガス 刈羽事業所だ。