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「日本での3Dプリントサービスは周到かつ慎重に」プロトラブズCEOのホルト氏3Dプリンタニュース

プロトラブズ日本法人の3Dプリントサービスの本格稼働は2018年以降になる見込みであるとプロトラブズ CEO ヴィクトリア・M・ホルト氏が明かした。

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 2017年4月にプロトラブズ CEO ヴィクトリア・M・ホルト氏が来日し、3Dプリントサービス事業を中心に、同社の近況について語った。

 プロトラブズの欧米拠点では2014年4月から3Dプリントサービスを提供してきたが、3Dプリント関連の2016年度売上が前年比で25%増と順調に伸ばしてきている。その用途の大半が試作であって、最終製品の製作を目的とするものはわずかであるという。そこには、3Dプリントのコンサルテーションの売り上げも少し含まれる。サービスを開始して早3年がたった現在では、同社の担当が企業を訪問してのコンサルテーションの引き合いが増加しているとのことだ。

 造形手法についても少しずつ増やしており、2017年3月29日には欧米拠点でストラタシスの造形技術「Polyjet」に対応した。剛柔両方の樹脂材料が扱え、複数のマテリアルを用いたマルチボディーの一体造形(over mold)が可能となった。「エラストマーなど軟質材料の部品加工のニーズが高い」とホルト氏は話す。「軟質な部品を作りたい場合で、射出成形ではコストが見合わない、あるいは単品〜数個の試作をしたい場合などに有効だと考えている」(同氏)。

 同社日本法人でも3Dプリントのサービスを準備中で「2017年中の立ち上げをめどに」ということだったが、ホルト氏は「本格的な稼働については、実際は2018年以降になりそうだ」と、そのリリースには慎重になっていて、周到に準備を進めていることを明かした。プロトラブズのビジネスはICT基盤で統合されたシステムとの連携が重要であり、そちらとの調整を万全にしつつ、高い品質と信頼性を確保したサービスを提供できるよう検討しているという。欧米での事業では成果を重ねるにつれて、それなりに課題も挙がってきているため、そちらもなるべく解消して日本でのリリースに臨みたいということだ。

 なお、同社が開発パートナーとなっており、欧米拠点に導入したHP製の3Dプリンタ「Jet Fusion 3D」については、現時点では「開発に協力している段階」に過ぎず、同社サービスへの本採用の見込みはまだ立っていないという。ひとまず「HPがうたう通りの実力であることを実際に確認した」とホルト氏は同装置の性能を高く評価する。

 ホルト氏は「3Dプリント関連は、当社の売り上げ全体のうち1割程度」と述べつつ、それそのものを大きく伸ばしていくことが重要ではないということを強調した。同氏は、「technology agnostic」(おおよそ、「技術に依存しない」という意味)という言葉を用いて、「3Dプリントは当社のサービスの1手法にすぎない。ビジネスの肝はあくまで、ICTで自動化された見積もり・発注システムと、高い品質と信頼性を備えた迅速なサービス提供にある」と述べて、採用する手法がそれを損なうものであってはならないとした。

 現在、欧米拠点では固定5軸加工のサービスの提供を既に開始しており、日本市場に向けても準備を進めている。

 鉄やステンレスなど加工可能な金属のバリエーションを増やしてきた同社だが、今後もユーザーのニーズに応じて対応材料の追加を検討していく。


プロトラブズ本社 CEO ヴィクトリア・M・ホルト氏(左)、プロトラブズ日本法人 社長 トーマス・パン氏(右)

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