“オールドタウン”化するニュータウン、高齢者の移動の自由を「Ha:mo」が支援:CeBIT 2017
トヨタ自動車は、「CeBIT 2017」において、モビリティサービス「Ha:mo」のカバー範囲を拡大させていく方針を示した。高齢化社会に向けて、「自宅からバス停といった小さな移動単位でも移動の自由を確保できるようにしたい」(同社)という。
トヨタ自動車は、国際情報通信技術見本市「CeBIT 2017」(2017年3月20〜24日、ドイツ・ハノーバー)において、「モビリティサービス・プラットフォーム」を中核とするコネクテッド関連の事業展開について紹介した。
同社は2016年11月、コネクティッドカンパニーを中核とする同社のコネクテッド戦略を発表しモビリティサービスに注力する方針を打ち出した。CeBIT 2017では、開催地であるドイツを含めた欧州域内からの来場者に向けて、日本での取り組みに加え、フランスで同社が実施している実証実験などについて展示を行い、モビリティサービスに本格的に向き合う姿勢を示した。
展示の中核になっていたのがモビリティサービスの「Ha:mo」だ。Ha:moは、愛知県豊田市、東京、沖縄、フランス・グルノーブルなどで実証実験が進められてきた。小型電気自動車(EV)であるトヨタ車体の「コムス」やトヨタ自動車の「i-ROAD」をパーソナルモビリティとして用い、さまざまな人々が移動の自由を確保できるサービスとして設計されている。2017年からは事業化に向けた取り組みが段階的に始まる計画である。
「小さな移動単位をカバー」
現在、日本国内では1人乗り小型EVの利用が前提になっているHa:moだが、今後はその振り幅を徐々に拡大させていくことを検討している。例えば、1人乗りだが自転車や二輪車レベルの気軽さで使えるパーソナルモビリティの利用や、複数人乗車が可能な小型EVのライドシェアリングなどだ。
その背景にあるのは日本国内で急速に進んでいる高齢化だ。「中でもかつてニュータウンとして開発された住宅地が、高齢化によって“オールドタウン”になりつつある。そういったところでは、車いすが必要になるほどではないが、バス停までの高低差を歩くのがつらいといった人々が増えてくる。この、自宅からバス停といった小さな移動単位をカバーできるようにしたい」(トヨタ自動車の説明員)としている。
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