GLM設立秘話(後編):部品メーカーと思いを共有、そしてパリから世界進出:モノづくり×ベンチャー インタビュー(3/3 ページ)
京都発の電気自動車(EV)ベンチャー・GLMが、EVスポーツカーとしてよみがえらせた「トミーカイラZZ」。一般公開されると予約注文が殺到したが、発売への道のりは厳しいものだった。
日本の部品メーカーの優れた技術を世界に発信
小間氏は、自身を「将来の大きなゴールを口にするタイプではない」という。
目標としては、目の前にある課題の最低限クリアしなければならない重要な到達点を定める。今、想像できる範囲でゴールを公言すると、自分の言葉に縛られてもっと大きなゴールに向かうことができなくなる可能性がある。しかし、目の前の課題をクリアしていけ、それまで見えなかったものが見えてくる。
GLMにとって最初のマイルストーンは、国土交通交省の認証取得だった。認証の許可を得たことで、それまで協力を得られなかった部品メーカーにも協力してもらえるようになった。
次のステップは量産化だった。さまざまな方法でナンバーを取得したベンチャー企業は他にもあるが、量産化に至ったベンチャーはGLMの他にない。「日本で初めて自動車を量産化したベンチャー」として認められると、同社に対する周囲の評価が大きく変わった。それによって、業務提携の問い合わせや提案が多方面からきている。
小間氏は、パリモーターショー2016に出展した際、欧州の自動車産業はすでに水平分業が普通だと知り驚いたそうだ。同社が創業以来、目指してきたモノづくりが欧州では実現されている。当然のように、GLMの水平分業エコシステムにも、欧州のサプライヤーから声がかかった。
こうした流れから、これまで以上に面白いモノづくりができると期待を持っている。「2019年までに、GLM G4の販売を開始したい」という。
小間氏は「われわれが作るクルマは、非常にとがっています。広く多くの方に提供できるクルマではありません」と説明する。けれど、トミーカイラZZやGLM G4に搭載されている部品メーカーの技術は、大量生産に適している。
同社はビジネスモデルとして、EVの完成車を販売するだけではなく、プラットフォームならびにそのエンジニアリングサービスの提供を念頭においている。既に、興味を示した企業から問い合わせがあり実績ができている。
自動車産業以外の、異業種からカーメーカーになりたいと考えている企業が、GLMのプラットフォームやエンジニアリングサービスを使いたいというのだ。また、自動車部品メーカーから、自社のテクノロジーショーケースとして世界に発信できるクルマを試作したいという依頼もある。
そして、大手自動車メーカーも興味を示し始めた。GLMのユニットのクオリティーが高いと認められ、そのユニットを使って、自社の1つのラインアップとして技術を提供してほしいという話が世界中から来ているそうだ。
依頼は、日本国内よりも海外からの方が多いという。
小間氏は「日本の技術を形にしたGLM G4を、日本のテクノロジー商品として世界に認めさせたい。このユニットを海外に提供することで、日本の部品メーカーの優れた技術を世界に発信できると思います」と語る。
世界のEVに、GLMの技術と日本の部品メーカーの技術が搭載される。GLMは、そんな大きな夢を持っている。
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