トヨタの完全子会社になったダイハツが中期計画、「DNGA」第1弾は軽自動車:製造マネジメントニュース
ダイハツ工業は、2017〜2025年までの中長期経営シナリオ「D-Challenge 2025」を策定した。D-Challenge 2025では、ダイハツ工業版「TNGA」となる「DNGA」の実現を目指す。DNGAの第1弾車両は軽自動車を予定している。
ダイハツ工業は2017年3月16日、2017〜2025年までの中長期経営シナリオ「D-Challenge 2025」を策定したと発表した。
ダイハツ工業は、2016年8月からトヨタ自動車の100%子会社となり、グループの中で軽自動車と新興国向けの小型車の開発を受け持つこととなった。2017年3月1日には創業110周年を迎えている。そこで、新たなステージで今後もダイハツ工業が存在感を発揮し、持続的成長と発展を目指せるように、新たなグループスローガン「Light you up」を策定した。
Light you upの「Light」は、「光」「軽やかさ」の2つの意味がある。「お客さま一人一人を照らし、きめ細やかな商品やサービスを実現することで、輝いたライフスタイルを提供すること。暮らしや環境への負担が少ないスモールカーで軽やかな気持ちを提供すること。この2つのミッションに、今後も変わらずに取り組み続けることを決意し、その想いを表現した」(同社)という。
D-Challenge 2025では、Light you upの考え方のもとで、「モノづくり」と「コトづくり」を主軸に事業を推進し、ダイハツブランドの確立、経営基盤の強化に取り組む。
「モノづくり」では、ダイハツ工業版の「TNGA(「Toyota New Global Architecture)」となる「DNGA」の実現を目指す。軽自動車からAセグメント、新興国向けのBセグメントまでのラインアップを展開し、トヨタ自動車の社内カンパニーである「新興国小型車カンパニー」で企画する車種にもDNGAを採用する。電動化や自動運転、コネクテッドカーなどの先進技術は、トヨタ自動車との連携を推進しダイハツ工業の独自システムとして“手の内化”する。DNGA投入の第1弾車両は軽自動車を予定しており、その後、Aセグメントへの展開を皮切りに、新興国向けBセグメントまでスピーディに展開していく計画だ。
ダイハツ工業に期待される新興国戦略としては、長年展開を積み重ねてきたインドネシアとマレーシアを中心に、ASEANを最優先で推進していく。トヨタブランドを含めて、ダイハツ工業が開発する軽自動車〜新興国向けの小型車の成長目標は「2025年目線で250万台に設定」(同社)した。なお、2015年度のダイハツ工業の世界生産台数は141万台だった。
一方、「コトづくり」については、顧客や地域との接点拡大を進める。これまでの販売会社、メーカーそれぞれで取り組んできた草の根活動を継続するとともに、新たな取り組みとして「ダイハツグループ一体で、ダイハツの強みを活かし、社会に貢献できるテーマで、社会とのつながりを強化。高齢者、女性、地方の人々を中心に、ダイハツと関わる全ての方々が、いきいきとモビリティライフを過ごせる社会に向け活動を開始する」(同社)という。
DNGA第1弾車両は「ミラ」?
DNGA投入の第1弾車両は軽自動車を予定している。このDNGA第1弾車両の有力候補となるのが「ミラ」だ。2011年9月発売の「ミラ イース」では「e:Sテクノロジー」の導入によって大幅な燃費向上を果たして業界に衝撃を与えた。しかしそれ以降フルモデルチェンジを行っていないことを考えると、新型「ミラ」がDNGA第1弾車両になる可能性は高い。
「東京モーターショー2015」では、ダイハツ工業が考える次世代のスモールカーの在り方を提案した「ニューベーシックスモールカー」として「D-base(ディーベース)」を披露した。D-baseの外形寸法は全長3395×全幅1475×全高1490mm、ホイールベースは2455mmであり、現行のミラ イースと全く同じだ。
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