3D CADで花開くパナソニックのデジタルモノづくり:デジタルモノづくり(2/2 ページ)
2017年2月15〜16日に開催された「Manufacturing Japan Summit」では、パナソニック エコソリューションズ社 技術本部主幹の中谷光男氏が登壇。「可能性を広げる3次元化の実現に向けて」をテーマに講演した。
システムキッチン部門のデジタル化
中谷氏は理美容部門のデジタル化を実現した後、システムキッチン部門に異動し同部門のデジタル化にも取り組んだ。この両製品を比べるとシェーバーは自由曲面が多く、作りこみ型であり、家電量販店店頭での販売が主で、製品の機能特徴を伝えることが必要な製品だ。一方、システムキッチンは形状が単純で、品番が多く、B2B2CのWeb販売が大半でユーザーに個々の製品を伝えることが必要となっている。
中谷氏はこのシステムキッチンの製品特徴に着目。従来3次元設計の論議は作り込み型で複雑化、単純化で展開してきたが、単純な形状でもシステムキッチン寸法駆動可能な製品には3次元設計が有効であるとして、3次元パラメトリックモデルによる開発効率化を進めた。
こうした取り組みはパナソニックの、ウェブ上で簡単にオーダーメイド・システムキッチンのオーダーが可能なWeb上の「iHOW's PLAN(アイハウズプラン)」サービスの提供につながっている。システムキッチンは標準品のキャビネットだけで約6万、部材は約90万もの品番があり、これらの組み合わせプランを自由に選択できる仕組みとなっている。
全ての部材が3次元設計され、これらを組み上げていくことでシステムキッチンの製品コスト、消費電力などの使用時のランニングコスト、メンテナンスコストなどさまざまな情報を設計段階で明確に知ることができるようになっており、見積もりも表示される。
さらに、その情報を生産データに活用して、材料展開から生産まで行うことで、最短で1週間後にはオリジナルのシステムキッチンが届く。このサービスは顧客の多様なニーズ対応と短納期でのデリバリーが必要なリフォーム需要に対して効果を発揮しているという。
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