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音声認識の覇権を握る「Amazon Alexa」、逆転の余地はまだある?IoT観測所(30)(3/3 ページ)

「CES 2017」で一躍存在感を高めた音声認識インタフェース「Amazon Alexa」。既に覇権を握りつつあるという見方も多い。それでも競合他社にとってまだ逆転の余地は残されているようだ。

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「Alexa」の課題は多国語化とオフライン

 もちろん、まだAlexaには幾つかの課題がある。最大の課題が多国語化で、現在は英語とドイツ語のみのサービスでしかない。実際これが理由で、日本ではEchoなどを購入できないわけだ。

 もう少し細かく言えば、先ほどの写真3に出てきたASRはもちろんのこと、NLUがきちんと対応できないと日本語を含む多国語化は難しい。例えば、NLUは「get high tide for Seattle from Tide Pooler」という言葉を受け取ると、「Tide Pooler」というSkillに対して、「get high tide for Seattle(シアトルの満潮の情報を返せ)」とリクエストを出すことができるが、日本語でも同じようにこれが動かないと意味が無い。Amazonはこうした多国語化に対して「詳細は言えないが、重要であることは理解している」としており、現在水面下で作業を行っていると思われる。

 逆に言えば、AmazonがAlexaの多国語化に手間取り、その間に他のサービスが機先を制することができれば、まだマーケットはひっくり返る可能性があるということだ。とはいえ、それが可能なベンダーは非常に少ないことは言うまでもない。

 もう1つ可能性があるのは、オフラインでの動作である。Alexaは原理的には「Amazon EC2」で動き、Skillsに関してはEC2とアプリケーションプラットフォーム「Amazon Lambda」を使って動作する仕組みだ。ということは、オフライン状態ではこれは使えない。

 例えば、CES 2017でフォード(Ford Motor)は、同社の車載情報機器「Sync 3」にAlexaを統合したことをアナウンスした。

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フォードによる「Sync 3」と「Amazon Alexa」の統合イメージ(クリックで再生)

 しかし、ネットワークの圏外では当然これは利用できない。まぁその場合でも基本的な音声による操作はSync 3のみでできる(というか、Sync 3でできることしかできない)ということだが、例えばAVSに相当する仕組みをローカルデバイス内に持ち込むことができれば、また違ったビジネスの仕方の可能性は残されている。

 とはいえ、音声認識インタフェースという観点で、Alexaの存在は非常に大きなものになったといえるだろう。

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