キヤノンITS、SOLIDWORKSの“かゆいところ”に手が届くツール61種を販売:地味に使える
キヤノンITSは、これまで同社顧客のみに無償提供してきたSOLIDWORKS向け設計支援ツールに「SOLiShie」(ソリシエ)と名称を付け、外部にも有償で提供開始する。同社オンラインショップで購入することが可能だ。61種類あるツールを1つから購入できる。
キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は2017年2月21日、3D CADのSOLIDWORKS向け設計支援ツール「SOLiShie」(ソリシエ)を提供開始する。対象バージョンはSOLIDWORKSとSOLIDWORKS PDM Professional共に、2015と2016、2017。
キヤノンITSのSOLIDWORKS保守契約(SOLIDWORKS Subscription Service契約)のユーザー向けに無償提供していた「設計業務支援ツール for SOLIDWORKS」の名称を「SOLiShie」に変更し、キヤノンITS以外のユーザーにも有償提供する。価格は1機能当たり9800円で、同社オンラインショップから購入できる。有効期限は5年間(ただし「SNLライセンスログ分析」(後述)のみ1年間)。なお同社ユーザーについては従来通り無償で提供する。
同ツールは全61種類で、「モデリング」「図面」「ユーティリティ」「データ管理」「コンテンツ作成&解析」「PDM」のカテゴリーに分かれている。アドインの形で使用する。全機能の概要は以下の通り。
モデリング(スケッチ)
- 1:スケッチ基準線作成:指定座標に、垂直・水平(無限または有限)の作図線もしくは点が作成可能
- 2:二等分線の作成:2直線の間に二等分線を作図
- 3:ノントリムフィレット:角部にフィレットを作成する際、元の線を消さずに残す
- 4:3次元スケッチ点作成:指定座標へのスケッチ点作成、既存スケッチ点の座標値出力
- 5:インボリュート曲線作成:2次元のスケッチでインボリュート曲線を描く
モデリング(部品)
- 6:設計テーブルクリエイター:システムの支援を受けながら設計テーブルを容易に作成
- 7:モデル寸法一括編集:部品ファイルが持つ全寸法変数を一括表示し、ダイアログ上で変更することで一括で寸法変更可能
- 8:条件付抑制/抑制解除:条件設定することで指定したフィーチャの抑制/抑制解除、寸法変更が行える
- 9:平歯車作成:設計パラメータを入力して、平歯車の3D形状を作成
モデリング(部品とアセンブリ)
- 10:概形測定:部品を三平面方向に投影した形状からおおよその面積と外形寸法を求める
- 11:表示方向アイコン:標準機能より多数の表示方向に対応。アイコン上の点を選択するだけで表示方向変更
- 12:指定位置距離測定:面上もしくはエッジ上の任意の2点間の距離を測定する
- 13:重心点作成:部品やアセンブリで、重心座標に3次元スケッチの点を作成
- 14:プロパティ編集(SOLIDWORKS):アセンブリや構成部品のファイルのユーザー定義プロパティを一括変更
- 15:アセンブリ構成部品並び替え:アセンブリの構成部品を名称で並べ替え
- 16:ダイナミッククリアランス出力:アセンブリ上の2つの構成部品を移動させながら最小距離を測定
- 17:材料ライブラリ一括登録:外部のファイルから材料ライブラリを取得して、任意のデータベースに一括登録
- 18:アセンブリ材料編集:アセンブリを構成する部品に対して、一括で材料設定
図面
- 19:角穴中心線作成:角穴の中心線を作成
- 20:ビューラベル一括編集:詳細図や断面図のラベルオプションが標準機能よりも柔軟に設定可能
- 21:チェーン寸法作成:図面ファイルに対して複数の寸法をチェーン状(一直線状にぴったりと並べる)に作成
- 22:線属性一括変更:複数の線要素の太さや線種、色を一括変更
- 23:図面構成部品置き換え:図面ファイルで、部品の置き換え
- 24:穴寸法フォーマットエディタ:穴寸法に記入するテキストのフォーマットを編集する
- 25:画像一括貼り付け:図面ファイルに指定した画像を一括貼り付け
- 26:ハイトマップ:モデル上の指定面の基準からの高さを注記で表現
- 27:ネジ/穴位置寸法一覧図作成:標準機能よりも多くの情報を盛り込んだ穴テーブルを作成する
ユーティリティ
- 28:クローンアセンブリ:アセンブリファイルの構成・参照関係を維持しながら、別アセンブリファイルを作成。同時にシャドー除去および保存ファイル名の文字列置換
- 29:公差反映:公差設定されている駆動寸法の値を指定された方法で一括変更
- 30:フィーチャ名一括変更:部品ファイルに含まれるフィーチャ名を文字列の置換で一括変更
- 31:コンフィギュレーション分解:作成されているコンフィギュレーションを分解し、個別ファイルとして作成
- 32:背景色指定画面キャプチャー:SOLIDWORKSのグラフィックス背景を透過設定にしたPNGファイルも作成できる
- 33:ビューキャプチャー:SOLIDWORKSの表示画面をキャプチャーし、指定するWordファイル内のブックマークに対して画像を任意の倍率で挿入
- 34:レイヤー分けしてDXF出力:図面ビューに表示されているアセンブリを、サブアセンブリ、構成部品、ビューごとにレイヤー分けし、DXF出力
- 35:一括印刷/データ変換:複数の図面ファイルを指定したプリンタで一括出力。複数のCADデータと指定した中間ファイル形式を一括で相互変換
- 36:DXF補正出力:図面ファイルからDXF出力する際、曲線要素を最適化処理。標準の機能よりデータ変換率を向上
- 37:図面連続線/外形線抽出:図面ファイルのビュー上で連続しているエッジまたは外形エッジをスケッチ要素に変換
- 38:図面ソリッド化:2D図面上に存在する閉じた複数の輪郭線を用いて3Dモデル作成
- 39:穴フィーチャ色づけ:穴ウィザードで作成された穴フィーチャに対して色設定。指定の範囲の径の穴に対して色設定
- 40:SNL ライセンスログ分析:SOLIDWORKS License ManagerのログファイルからSOLIDWORKSの使用状況を確認
データ管理
- 41:データパック:部品ファイルの不要な情報を削除しファイルサイズ縮小
- 42:非参照ファイル移動:指定ファイルと参照関係にあるデータを特定し、その他のデータを別フォルダへ移動
- 43:構成部品ツリーフォルダー作成:アセンブリファイル一式をフィーチャツリーの部品構成と同様のフォルダ構成にできる
- 44:ファイルバージョンチェッカー:複数ファイルのバージョンを調べる
- 45:同名ファイルオープンチェッカー:開こうとしているアセンブリファイルの構成部品が、既に開かれているかどうかを事前チェック
- 46:参照切れファイル探査:指定アセンブリが最後に保存された際に参照していたファイルが存在しているか確認
- 47:構成部品ファイル名変更:編集中のアセンブリが参照している構成部品ファイルのファイル名変更を一括で実行
コンテンツ作成&解析
- 48:部品表プロパティ登録(SOLIDWORKS Composer):図面ファイルの部品表の値を、構成する部品ファイルのユーザー定義プロパティに登録
- 49:スタディ指定一括解析(SOLIDWORKS Simulation):複数ファイルで個別指定したSimulationスタディをバッチ処理を用いて解析実行
- 50:スタディ結果保存先編集(SOLIDWORKS Simulation):Simulationデフォルトオプションの結果フォルダと、スタディプロパティの結果フォルダの相違を検出し、設定を修正
PDM(SOLIDWORKS Enterprise PDM)
- 51:保存場所チェック:Enterprise PDMへドキュメントコピーする前に保存先、ファイル名、プロパティが指定した規約に従っているかチェックして警告
- 52:未チェックインファイル検索:EPDMボルトへデータ登録後、チェックインし忘れを防止
- 53:PDM WGのプロパティ編集(Workgroup PDM):Workgroup PDMのプロジェクト内ドキュメントのプロパティを一括変更
- 54:EPDMのプロパティ編集:アクティブドキュメントが持つプロパティ情報をEnterprise PDMより取得し、一括変更。CSVファイルへ出力
- 55:プロパティ一括入力:Excelファイルを利用して、Enterprise PDMに登録されているSOLIDWORKSファイルにプロパティを一括で入力
- 56:参照先自動置換:アセンブリを構成する部品との参照関係をEPDMボルト内の同名ファイルへ変更してチェックイン
- 57:簡易BOM出力:Enterprise PDMに備わるBOM表示の構成部品数を特定のルールに従って編集し、CSVに出力
- 58:電子印章貼り付け:「承認済み」などの特定ステータスである図面に対し、印章などの画像を貼り付ける、TIFFファイルを作成
- 59:アセンブリ構成情報出力:Enterprise PDMに登録されている指定ドキュメントのプロパティ情報とアセンブリ構成情報をCSVファイルへ出力
- 60:アセンブリ構成情報比較:2つの任意アセンブリの構成(構成部品名、コンフィギュレーション、員数)を比較
- 61:派生作成/派生検索:Enterprise PDMに登録されている任意のドキュメントを用いて新たなドキュメントを作成、ドキュメント間の関係を検索可能に
既存ユーザーの評価が特に高いツールは、ネットワークライセンスの稼働状況を分析する「SNLライセンスログ分析」、PDMのプロパティ編集、穴フィーチャの色付け機能だという。
これまで年1回、同社ユーザーにアンケートを取ることでニーズを抽出し、追加する機能を決めてきた。これからも年1回の頻度で機能追加していく予定だ。
今後はキヤノンITSで取り扱うSOLIDWORKS以外の3D CADの支援ツールの提供も検討していくということだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「SOLIDWORKS」の新機能がリアリティーショーに、次世代トップモデラーを目指せ
「SOLIDWORKS World 2017」の最終日、3D CADツール「SOLIDWORKS」の次期バージョン「SOLIDWORKS 2018」の新機能が発表された。「4つのエコシステム」に対応する新機能に加えて、次世代トップモデラー(トップモデルではない)を目指す4人がプレゼンするリアリティーショーのパロディー寸劇でも新機能が紹介された。 - こうやればよかった! メカ設計者のためのPDM
多品種少量生産の産業機械業界のPLM事例は少ない。情報不足の中、諏訪の企業がPLMに果敢にチャレンジ。PLM立ち上げの肝は、PDMだった。メカ設計者視点にこだわったモノづくりIT立ち上げ奮闘記! - 設計者によるPDM導入で大事なフォルダ構成検討
機械メーカーで3次元CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回は設計者のためのPDMにおける構造について説明する。 - キヤノンITS、エンジニアリングデータ管理システム「FullWEB」の取り扱いを開始