トヨタとシェルがカリフォルニア州に水素充填設備を新設、州から18億円の補助も:燃料電池車
トヨタ自動車とロイヤル・ダッチ・シェルは、米国カリフォルニア州で水素ステーション網の拡充で協力する。ロイヤル・ダッチ・シェルは既存のガソリンスタンド7カ所に水素充填設備を導入。トヨタ自動車はロイヤル・ダッチ・シェルが導入した水素充填設備の運営を資金面で支援していく。
トヨタ自動車とロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)は2017年2月20日(現地時間)、米国カリフォルニア州で水素ステーション網の拡充で協力すると発表した。ロイヤル・ダッチ・シェルは既存のガソリンスタンド7カ所に水素充填設備を導入する。トヨタ自動車はロイヤル・ダッチ・シェルが導入した水素充填設備の運営を資金面で支援していく。
ロイヤル・ダッチ・シェルによる水素充填設備導入に対し、同州政府が合計1636万2500米ドル(約18億4900万円)の補助金を提案した。水素充填設備1カ所当たり233万7500米ドル(約2億6500万円)となる。補助金の提案は、同年2月17日に州政府のカリフォルニアエネルギー委員会が公表した補助金交付先提案書(NOPA、Notice of Proposed Award)によるもの。
アクセスの良い立地に水素ステーションを整備していくことで、燃料電池車の普及に結び付ける。トヨタ自動車はエネルギー会社の専門性や経営資源を活用する狙いがある。
ロイヤル・ダッチ・シェルは既にカリフォルニア州ロサンゼルスで2基の水素ステーションを運営している。ドイツでも全国規模で水素ステーションを拡充するため、産官連携のジョイントベンチャー「H2 Mobility Germany」を通じて政府や業界との協力を進めている。
トヨタ自動車は、協業を通じて米国での水素ステーション拡充を支援してきた。2014年にはファーストエレメント・フューエルが19基の水素ステーションを運営する資金を支援することで合意した。2016年は、エア・リキード(Air Liquide)と協力し、ニューヨーク州、ニュージャージー州、マサチューセッツ州、コネチカット州、ロードアイランド州の5州で計12基の水素ステーションを運営することで合意している。
トヨタ自動車は1社単独での取り組みだけでなくエネルギー業界や運輸業界との協力も強めており、2017年1月には、Hydrogen Council(水素協議会)が発足した。自動車業界からトヨタ自動車、ホンダ、BMWグループ、ダイムラー(Daimler)、現代自動車(Hyundai motor)、重電業界から川崎重工業、アルストム(Alstom)、エネルギー業界からエア・リキード、アングロ・アメリカン(Anglo American)、エンジー(Engie)、ロイヤル・ダッチ・シェル、リンデ(Linde)グループ、トタル(Total)が参加している。参加企業は、水素や燃料電池の開発と商業化について、現時点で1年当たり約14億ユーロ(約1700億円)と推定される大掛かりな投資をさらに加速させていく方針だ。
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