圧力と温度を同時検出できるフレキシブルシートセンサー:医療機器ニュース
新エネルギー・産業技術総合開発機構は、次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合とともに、印刷技術によって、圧力と温度を同時に検出可能なフレキシブルシートセンサーを開発した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2017年2月8日、次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合(JAPERA)とともに、印刷技術によって、圧力と温度を同時に検出可能なフレキシブルシートセンサーを開発したと発表した。
今回、JAPERAが開発した圧力/温度同時多点検出シート型センサーは、印刷製造したフレキシブルTFT(薄膜トランジスタ)アレイシート上に、感圧層と感温層をパターン印刷し、微細な感圧部と感温部を面内に高密度に配列したものだ。
感圧層と感温層のパターン形成には、スクリーン印刷性に優れ、TFTの特性にマッチした抵抗値を有する感圧インクや、新しい感温インク材料組成と同インクによる印刷方法、高精細な画素電極が形成できるグラビアオフセットAgインク印刷方法を開発し、用いた。
これらを用いて作られたセンサーは、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース・ドレイン電極、有機半導体からなるTFT上に中間層を介して、画素電極と感圧層もしくは画素電極と感温層が積層された構造になっている。感圧層、感温層ともに圧力または温度によって抵抗が変化するため、それぞれの層に直列に接続されたTFTのゲート線を走査しながらソース電流を読み出すことによって、圧力や温度の面内分布を検出できる。
同シートセンサーは、総厚約0.3mmでフレキシブル性に富む。これに重量と温度の異なる液体の入った複数の容器をセンサー上に載せてみたところ、容器の位置、重量(圧力)、温度を同時に検出できることが実証できた。
検出エリアはB5サイズで解像度1.2mmピッチ、圧力0〜500kPa、温度20〜50℃の検出が可能だ。人間の皮膚の2点弁別閾(皮膚の2点に加えられた刺激を2点と感じる最小距離)は最も値の小さい指先でも2〜3mmといわれており、これに匹敵するセンサーとなっている。
今後JAPERAは、同センサーのフレキシブル、軽量かつ高解像度という特長を生かし、その応用を目指す。応用例として、靴底に装着して運動時の荷重バランスや疲労度をセンシングしたり、ベッドに取り付けてリハビリ/介護の支援に用いたりなどが挙げられる。
また、将来、圧力と温度以外にも摩擦などの物理センサーやバイオセンサーを開発し、組み合わせることができれば、センサーによって人の皮膚感覚を備えたロボットスキンも可能になるとしている。
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