ニュース
ケラチノサイト内のメラニン色素を3次元的に可視化するツールを開発:医療技術ニュース
東北大学は、ケラチノサイト内のメラニン色素を3次元的に可視化できるツール「M-INK(エムインク)」を開発した。メラノサイトからケラチノサイトに向けて、メラニン色素を受け渡す仕組みの解明が期待される。
東北大学は2017年1月19日、ケラチノサイト内のメラニン色素を3次元的に可視化するツール「M-INK(エムインク)」を開発したと発表した。メラノサイトからケラチノサイトに向けて、メラニン色素を受け渡す仕組みの解明につながることが期待される。
メラノサイト内部で形成されたメラノソームは、隣接する皮膚をつくるケラチノサイトに受け渡されて沈着することで、肌の暗色化(日焼け)を引き起こす。ここ10年ほどの研究で、メラノサイト内部でメラノソームを輸送する仕組みが解明されたが、ケラチノサイトに輸送されたメラノソームのみを効率よく顕微鏡で観察することはできていなかった。
東北大学大学院生命科学研究科の石田森衛博士、福田光則教授らのグループは、メラノソームを輸送する新規分子の探索過程で、ケラチノサイトのメラノソームも可視化できる分子を偶然発見し、M-INKの開発に成功した。同成果は2017年1月17日、日本生化学会の国際英文誌「The Journal of Biochemistry」の電子版に掲載された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 東北大IFSが教える風洞活用の基礎知識
流体に関わるあらゆる現象を調べるために使われる風洞。これが一般向けにも安価に貸し出されていることをご存じだろうか。風洞と最新の関連計測機器などをそろえる東北大学に、風洞の基本や利用時に見落としがちなこと、使用事例などについて話を聞いた。 - 東北大学とドコモ、妊婦の疾患予防・早期発見に向けた共同研究を開始
東北大学が保有するゲノム解析・体内物質解析の技術力と、ドコモのモバイル・ヘルスケア技術を融合することで、妊婦特有の疾患予防・早期発見方法を確立するとともに、発症原因の特定を目指す。 - 東北大学、体に張ると発電し、薬の浸透が促進される皮膚パッチを開発
酵素によるバイオ発電の技術を利用して、体に張ると微弱な電流が発生し、皮膚を通した薬の浸透が促進される「バイオ電流パッチ」を開発。電池などの外部電源を必要とせず、張るだけで薬剤の浸透を加速できる。 - MRJはいかにして設計されたのか
三菱航空機の小型旅客機「MRJ(Mitsubishi Regional Jet)」の機体設計には、多目的最適化手法や、最適化の結果を可視化するデータマイニング手法が採用されている。MRJの事例を中心に、航空機設計におけるコンピュータ・シミュレーションの活用手法を探る。 - 「超小型衛星を日本のお家芸に」〜月面レースに挑む研究者、東北大・吉田教授(前編)
「超小型衛星」の分野で活躍中の東北大学・吉田和哉教授に、宇宙ロボットの最新状況を聞いた。