IBMが2016年に8088件の米国特許を取得、24年連続首位に:知財ニュース
IBMは、2016年に取得した米国特許が8088件となり、米国特許取得数の年間記録を更新するとともに24年連続で首位となった。特に、AI/コグニティブとクラウド・コンピューティング関連分野では、それぞれ1000件以上の特許を取得している。
IBMは2017年1月9日、2016年に取得した米国特許が8088件となり、米国特許取得数の年間記録を更新するとともに、24年連続で首位となったと発表した。AI/コグニティブ・コンピューティング、コグニティブ・ヘルス、クラウド、サイバーセキュリティなど、同社の戦略的成長分野でのさまざまな発明を含んでおり、特にAI/コグニティブ・コンピューティングとクラウド関連の特許は2000件以上に及ぶ。
これらの特許のうち、コグニティブ・ヘルスケア関連の例としては、心臓画像を利用して心臓の形状や挙動の特徴を識別し、心臓検診の精度を向上する「心臓病の病状を分類するための手法およびシステム」がある。また、人間の声や周囲の音を認識して聞き分ける「スマート補聴器」や、ドローンで汚染区域を調査・測定し、病院や製造現場、農地などの安全を確認する「ドローンベースの微生物分析システム」などもある。
コグニティブ・コンピューティングおよび人工知能の分野では、ある質問に対して回答の候補を生成し、その候補がどれだけ適切かを判断して回答の精度を向上させる「オープン・ドメイン質問応答システム向けの機械学習モデルのトレーニング」や、運転者の心理状態を考慮に入れて走行ルートを計画する「ニーズに基づいたコグニティブな走行計画」などがある。
クラウド・コンピューティング分野では、1000件以上の特許を取得。クラウド環境においてパフォーマンス上の問題が発生する可能性の高いホット・スポットを事前に識別する「クラウド・コンピューティング環境におけるホット・スポットのプロアクティブな識別」もその1つだ。
サイバーセキュリティ分野では、開発者がアプリケーションに細かなセキュリティ・ポリシーを指定できる「ネットワーク化されたコンピューティング環境におけるセキュリティ管理」、電子メールやテキスト・メッセージの信頼性レベルを作成し、ユーザーへの転送を判断するシステム「通信のセキュリティ管理」などが挙げられている。
なお、2016年の米国特許取得数でIBMに続く2位はサムスン・エレクトロニクス(5518件)、3位はキヤノン(3665件)だった。
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