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規格準拠は“入場券”にすぎない、ISO26262をきっかけに製品開発力の強化をISO26262 日本IBM インタビュー(1/2 ページ)

日本IBMは、自動車向け機能安全規格であるISO 26262に対応する開発ツールとして、トレーサビリティ確保の観点に立って、要求管理ツール「DOORS」や構成・変更管理ツール「Rational Team Concert」を展開している。同社の根城寿氏に、国内自動車業界のISO 26262への対応状況などについて聞いた。

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 自動車向け機能安全規格であるISO 26262が2011年11月に正式発行されてから9カ月が経過した。しかし、国内の自動車業界では、自動車メーカーや大手ティア1サプライヤを除いた多くの企業が、ISO 26262に対応した開発体制を整備しきれていないというのが実情だろう。

 ISO 26262では、車両の企画段階から、製品開発、生産、販売、そして廃棄に至るまで、各プロセスで行われてきたことを確認するための「トレーサビリティ」が求められる。ISO 26262におけるトレーサビリティ確保の観点に立って、さまざまなツールを提供しているのが日本IBMだ。同社の要求管理ツール「DOORS」と構成・変更管理ツール「Rational Team Concert(RTC)」は、ISO 26262への準拠に必須のツールとして知られている。

 日本IBM ソフトウェア事業 ラショナル・クライアント・テクニカル・プロフェッショナルズのマネージングコンサルタントを務める根城寿氏に、国内自動車業界によるISO 26262対応の状況や、同社ツールの特徴について聞いた。



MONOist ISO 26262が正式発行されて以降、国内自動車業界の対応はどのようになっていますか。

日本IBMの根城寿氏
日本IBMの根城寿氏

根城氏 2011年末ごろに、複数の国内大手自動車メーカーから、それぞれのサプライヤに対してISO 26262に準拠できる体制の構築を求める通達があったと聞いています。しかし、大手ティア1サプライヤとそれ以外のサプライヤでは状況が異なります。大手ティア1サプライヤは、大口顧客である欧州の自動車メーカーとの関係もあってその前からISO 26262への対応を進めていたので、国内大手自動車メーカーからの要求にも応えられる状態にありました。一方、中規模以下のティア1サプライヤや、多くのティア2サプライヤは、ISO 26262に準拠した開発体制を現在急ピッチで構築している段階にあります。2012年末までには、何とかめどを付けたいという企業が多いですね。

MONOist “めど”を付けるための取り組みとはどういったものですか。

根城氏 要になるのは、やはりソフトウェア開発プロセスですね。まずは、現在のソフトウェア開発プロセスの中身について、ISO 26262に合わせて定義します。そして、定義したソフトウェア開発プロセスを定着させるためにツールを導入するといったところです。ここで導入するツールとして、当社のDOORSが選ばれることが多いですね。

 当社はただツールを販売するのではなく、ISO 26262準拠に向けた支援も含めて事業を展開しています。ですので、顧客から「とにかくISO 26262に準拠できる体制を早急に構築したい」という要望をいただくことも多くあります。そういった場合には、ソフトウェア開発プロセスのトレーサビリティにかかわる部分について、Automotive SPICEのレベル0(不完全なプロセス)からレベル1(実施されたプロセス)の状態まで引き上げつつ、プロセス定義とツール導入を並行して進めます。これらの施策であれば、早ければ3カ月で完了することも可能です。

 日本IBMが提案するISO 26262への取り組みの進め方
日本IBMが提案するISO 26262への取り組みの進め方。ISO 26262への準拠から始めて、最終的には製品開発力の強化につなげる。(クリックで拡大) 出典:日本IBM

MONOist 国内の自動車業界は、現在あるものを大きく変えずに、取りあえずISO 26262に準拠できればいいという考え方が支配的なように見えます。ISO 26262に準拠した体制さえ構築できれば、従来通りの競争力を保てるのでしょうか。

根城氏 ISO 26262への準拠というのは、今後も自動車業界で事業を継続するための“入場券”にすぎません。ISO 26262に準拠するために構築した開発体制を基に、QCD+S(品質/コスト/納期+安全)を改善しながら、製品開発力を強化できるように進化させていかなければ、相対的に競争力は落ちていくことになります。

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