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規格準拠は“入場券”にすぎない、ISO26262をきっかけに製品開発力の強化をISO26262 日本IBM インタビュー(2/2 ページ)

日本IBMは、自動車向け機能安全規格であるISO 26262に対応する開発ツールとして、トレーサビリティ確保の観点に立って、要求管理ツール「DOORS」や構成・変更管理ツール「Rational Team Concert」を展開している。同社の根城寿氏に、国内自動車業界のISO 26262への対応状況などについて聞いた。

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OSLCインタフェースによるデータ連携で「CLM」を実現

MONOist 日本IBMのISO 262626関連ツールの特徴を教えてください。

根城氏 当社のISO 262626対応のツールチェーンは、先述した要求管理ツールのDOORSと構成・変更管理ツールのRTCに加えて、モデリングツールの「Rhapsody」、テスト管理ツールの「Rational Quality Manager(RQM)」で構成されています。

 これらのツールはオープンインタフェース「OSLC(Open Services for Lifecycle Collaboration)」を利用できるのが特徴です。このOSLCに準拠したインタフェースを有していれば、当社のツールであれ、他社のツールであれ、データを連携させることができます。

 自動車メーカーやサプライヤが使用しているツールは多岐にわたります。これらのツールを、ツールベンダー1社が一括して提供していることはなく、複数のベンダーのツールを組み合わせて運用しているのが一般的です。異なるベンダーのツール間でデータを連携させるには、何らかのインタフェースが必要になります。当社は、オープンコミュニティーで策定しているインタフェースの導入を推進することで、異なるベンダーのツールが用いられている開発環境でも、スムーズにデータを連携できるようにしたいと考えています。

 開発体制のグローバル化が進展している自動車業界では、クラウドの利用が広がっていくでしょう。その場合、他社ツールとのデータ連携機能が貧弱なシングルリポジトリをうたうツールよりも、OSLCインタフェースによるオープンなデータ連携が必須になるはずです。

日本IBMが想定する「CLM」
日本IBMが想定する「CLM」では、メカ開発とエレ開発に加えて、ソフトウェア開発までもシームレスに管理できる。(クリックで拡大) 出典:日本IBM

 最近では、ソフトウェアの開発管理ツールについて、機構(メカ)開発や電子回路(エレ)開発で利用されるPLM(Product Lifecycle Management)ツールに対応した名称として、ALM(Application Lifecycle Management)ツールと呼ぶことがあります。DOORSやRTCはALMツールに利用できる機能を有していますが、当社はALMよりも先に進んだビジョンを持っています。

 それは、メカ開発とエレ開発に加えて、ソフトウェア開発までシームレスに管理する「CLM(Collaborative Lifecycle Management)」です。このCLMを実現するためにも、OSLCインタフェースの果たす役割は大変重要だと言えるでしょう。

MONOist オープンという意味では、「Redmine」のようなOSS(Open Source Software)ベースのプロジェクト管理ツールも候補になりませんか。

根城氏 OSSベースのツールを組み合わせてトレーサビリティを確保することもできますが、プロセスが複雑になります。その上、ISO 26262のPart.8で求められる「Qualification of Software Tools」を満足させるための情報入手が困難です。

 また、ISO 26262に準拠するということは、その製品の企画から廃棄まで最低でも20〜30年はデータを管理し続ける必要があります。そのISO 26262と関連するツールも、長期間のサポート継続が確保されていなければなりません。

 小規模の企業のツールやOSSベースのツールは、このサポート継続に不安があります。これに対して当社は、DOORSやRTCについて継続的なサポートを約束していますし、世界的な大企業であることから買収の恐れもありません。

ISO26262−自動車向け機能安全規格−

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