インドに残る混沌と、次第に浸透する欧米流ライフスタイル:新興国自動車事情(5)(3/4 ページ)
インドの首都デリーは、大ざっぱに捉えると2つに分けることができます。昔からの市街地オールドデリー、そして行政機能を持ちビジネス街としても整備されたニューデリーです。その境界近くは、昔ながらの雰囲気と近代的なモータリゼーションが混在する、不思議な感覚に満ちていました。
人いきれに満ちた路上風景
旧市街のオールドデリーやその近隣を歩いてみると、ニューデリーとはまったく異なった風景が広がります。通りを行き交うのは人と三輪自転車、そしてモーターサイクル。リヤカーでやってきて、そのまま露店として営業する人も多数です。小回りの利かないクルマはどちらかといえば疎ましい存在で、クラクションを鳴らしながらも最徐行でソロリソロリと通り抜けることになります。
オールドデリーの雰囲気を色濃く残す街区とニューデリーの境界あたりには、デリー中央駅があります。多くの都市の中央駅と同様に、地方と首都を結ぶ動脈としての機能を持っているだけに、大変な賑わいを見せていました。大きな荷物を抱えた人が行き交う様子は、ターミナルとしての機能が果たされていることを理解させます。
駅前にはバス停もあるものの、バスターミナル等があるわけではありません。オートリキシャーやタクシーといった公共交通のエリアと、一般車両のエリアが分けられてはいるものの、結局は混在してあまり意味を成さなくなっています。駅前広場の外縁にあるバス停への歩行者の動線もしっかり確保されているとはいえず、全体的に整備が追い付いていない印象です。
ちなみに駅構内ですが、広い券売所には電光掲示板が設置され、列車やプラットフォームの確認は容易です。ただし、プラットフォームへ上がるには手荷物チェックを受けなければならないので長い行列ができていました。安全確保のためには仕方ないのかもしれませんが、利便性を損なっているように感じました。
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