他人の「ロジカルシンキング」見て、わが「ロジカルシンキング」直せ!:“イノベーション思考”で発想が変わる!(5)(3/3 ページ)
発想を生み出すためには「考え方の技術」がある。コツの解説と演習を通じてその技術を身につけてもらおうという当連載。今回は「今ある貯蓄を、1年間で100万円増やすには?」という演習問題の回答例を厳しく!? チェックします!
テーマの根本に合わないものは入れません
最後のボックスです。
前述したとおり、「マーケット」というキーワードから「投資」を想像しましたが、この下には「物を売って」「投資して」「お金を借りて」と続きます。まず、「お金を借りて」というのは貯蓄が増えることにはつながらないのではないでしょうか。貯蓄額、と聞いたときに借金はマイナスされますね。
アイデアを出す際、「現実的でないから」「うちの会社では無理だから」と勝手に制限をかけてしまうことがあります。これは発想に制限をかけてしまうもの。しかし、掲げられているテーマを実現しないもの、外れてしまうものは選択肢から除外します。
先ほど上位レイヤの「収入を増やす」の下に「自力で収入を増やす」「他人から得る」という中間概念を設定しては、と話しましたが、その「自力で〜」の下を「労働所得」「非労働所得」と分け、その「非労働所得」の下に今回の「物を売る」「投資」と分けるのはいかがでしょう。
絶対的な「正解」は存在しない。繰り返すのみ!
では最後に、私が考えた模範解答を紹介します。
1段目は「収入を増やす」「支出を抑える」、そして“もともとあるものを利用する”という意味で「現金以外の資産を現金化する」の3つに分けています。「収入を増やす」の下の「今の会社で」「転職して」の下はマトリックスにしています。そして、「副業して」の下、「アルバイトをする」は他の2項目に比べて具体的過ぎないか、と思ったあなた。MECE脳になっていますね! 正社員として働くなどもありますが、ここはあえて最も現実的と思われる「アルバイトをする」としました。モレを恐れすぎて具体策を導けないのもよくありません。
2つ目のボックス「支出を抑える」の下は家計簿の項目の中から支出額や回数が多そうなものに絞って切り分けました。他にも支出はあるかもしれませんが、ささいなものについては外しています。重箱の隅をつついても、根本的解決にはならないからです。
3つ目のボックスの下には、現金化できるものとして「不動産」なども挙げられますが、あまり一般的ではないので外しています。
と、ここまで解説してきましたが、結論に正解や不正解はありません。私の回答だけが正しいというわけではなく、人によっていろいろな切り口があることでしょう。
しかし、より多様な発想を生むためのコツやルールに沿って考えるクセがつくと、考えが整理され、これまで見えていなかった選択肢が見えるようになってきます。そして、自信を持ってその発想を他人に提示することができるようにもなります。
ただ、やはり一度だとクセはなかなか見抜けません。そこで、「演習問題 パート2」を出題します! 来月も“Web上フィードバック”を行いますので、皆さんもぜひトライしてみてください。
テーマ:バス利用者の不満を解消するには?
A社は、最寄駅から2km、徒歩25分の位置に事業所がある。通勤者が最も集中する朝夕の時間帯に、通勤専用の社有バスを運行しているが、いつも乗客が定員オーバーで乗れない社員が多くおり、利用者の不満が多い。
さて、どのようにすればこの問題が解決されるか、ロジックツリーを基に検討してみましょう!
筆者プロフィル
株式会社VSN VIエキスパート 桑山 和彦(くわやま かずひこ)
通信機器、情報機器メーカーより株式会社VSNに転職。VSNに入社後はエレクトロニクスエンジニアとして半導体のデジタル回路設計やカメラ用SDK開発業務に携わる。
2013年より“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」を推進するメンバー「バリューチェーン・イノベーター・プロフェッショナル」に抜擢。ビジネス・ブレークスルー大学・大学院の教授である斎藤顕一氏より問題解決手法の教示を受け、いくつもの問題解決事案に携わる。
現在はVIエキスパートとして、よりハイレベルなコンサルティングサービスを提供する他、社員の育成プログラムの構築〜実施を行う。
株式会社VSN http://www.vsn.co.jp/
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