スマートファクトリーがいよいよ現実解へ、期待される「見える化」の先:MONOist 2017年展望(2/3 ページ)
ドイツのインダストリー4.0がきっかけとなり関心が高まった、IoTを活用したスマートファクトリー化への動きだが、2017年は現実的成果が期待される1年となりそうだ。既に多くの実証成果が発表されているが、2017年は、実導入ベースでの成功事例が生まれることが期待される。
スマートファクトリーの国際標準化も本格化
政府間連携などの一方で、2017年はスマートファクトリーにおける国際標準化の動きが本格化する1年となる。既に国際標準化団体であるIEC(国際電気標準会議)やISO(国際標準化機構)でも、IECでは「SG8 Industry 4.0 - Smart Manufacturing」、ISOでは「SAG Industry 4.0 - Smart Manufacturing」という戦略グループを設置し、現状の規格のマッピングなどを含めて話し合いを進めているところである※)。
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2017年はこのIECとISOの戦略WGが連携を進める動きも出てきており、世界的にスマートファクトリーの形を定義しようという動きが強まっている。
RAMI4.0とIIRAに割って入る日本規格
標準化の問題では、個々の技術仕様に目が行きがちだが、インダストリー4.0のようにさまざまな業務やさまざまなプロセスの技術を規定する必要がある場合は、全体的な設計図が重要になる。こうした参考となる全体モデルを「リファレンスアーキテクチャ」というが、既にプラットフォームインダストリー4.0もIICも独自のリファレンスアーキテクチャを策定。2016年5月からは標準化に向けての話し合いを開始し、同年6月には新たに共同ワーキンググループ(WG)を設置して、具体的なすり合わせに取り組み始めている。
こうした動きに対し、「日本のモノづくりの強み」を織り込んだ規格をぶつけようという動きも出てきている。IVIが策定した「Industrial Value Chain Reference Architecture (IVRA)」である※)。
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IVIは、日本機械学会生産システム部門の「つながる工場」分科会が母体となり、製造業の現場に即したIoT活用を訴えてきた。同団体は2016年12月に独自のリファレンスアーキテクチャを策定し公開。IECとISOの共同WGに提出したという。IVRAは、PDCAや5M、QCDEなど日本の工場で重要視されている要素を取り込み、それらをユニット化していることが特徴である。日本の製造業が高い評価を受けている「現場力」をモデルとして表現している点が、他のリファレンスアーキテクチャとの大きな違いだ。
今後は、RAMI4.0やIIRAとともに、IVRAも国際標準化の舞台ですり合わせ作業が行われると見られ、“日本の良さ”が「標準化」される可能性も見えてきた。
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