自動運転車が判断できない場面はマネジャーが指導? NASAと組んだ日産の成果とは:CES 2017(2/2 ページ)
自動運転車が状況判断するために“マネジャー”をつける――。民生機器テクノロジーの展示会「CES 2017」の基調講演に、日産自動車 会長兼最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーン氏が登壇。ゼロエミッションとゼロフェイタリティ(交通事故による死傷者数ゼロ)に向けた取り組みの成果を語った。
無人運転も可能な完全自動運転に向けては、ディー・エヌ・エー(DeNA)と協力する。完全自動運転は技術開発の最終段階と位置付けている。現在、高速道路でのレベル2の自動運転「プロパイロット」は既にミニバンの「セレナ」に搭載している。現行のプロパイロットではできない自動の車線変更も含めた高速道路の自動運転は2018年に、市街地での自動運転は2020年までに実用化する計画だ。
新型「リーフ」に自動運転を搭載
インテリジェント パワーについては、電気自動車「リーフ」の新モデルにプロパイロットを搭載することにより実現を目指す。電気自動車以外にも、エンジンの動力を発電のみに使用するシリーズハイブリッド「e-POWER」や、バイオエタノールから取り出した水素で発電する燃料電池システム「e-Bio Fuel-Cell」などもそろえる。
ゼロエミッションに向けた電動パワートレインを搭載するモデルを投入するばかりでなく、駆動用バッテリーをエネルギー貯蔵デバイスとして活用する「Vehicle to Home(V2H)」「Vehicle to Building(V2B)」「Vehicle to Grid(V2G)」の取り組みも世界各国で導入されている。使用済みの駆動用リチウムイオンバッテリーをバックアップ用電源として使う取り組みも進んでいる。
Microsoftがコネクテッドカー専用「Microsoft Azure」
Microsoft(マイクロソフト)と協力してコネクテッドカーの取り組みも加速させる。日産自動車は2016年1月から、リーフやインフィニティブランドの欧州向けモデルに搭載しているテレマティクスシステムにクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を採用。同年9月には、次世代サービスの共同開発に向けて両社で提携を発表している。
マイクロソフトは今回のCES 2017で、コネクテッドカー構築のプラットフォーム「Microsoft Connected Vehicle Platform」を発表。Microsoft Azureのサービス群で、コネクテッドカーの開発向けに設計されたものだ。日産自動車はこのプラットフォームを利用し、コネクテッドサービスやモビリティサービスをマイクロソフトと共同開発する。
Microsoft Connected Vehicle Platformは2017年後半から正式に提供を開始する。音声アシスタント技術「Cortana(コルタナ)」も車載情報機器に搭載可能になる。音声認識機能を直感的なHMI(ヒューマンマシンインタフェース)として活用できるだけでなく、ドライバーの好みを理解したり、コルタナをクルマでもスマートフォンでも利用したりできるようにする。この他にも、日産自動車はMicrosoft Connected Vehicle Platformを利用して、車両の状態把握や遠隔診断、予防メンテナンスなどのサービスも車両に搭載していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- DeNAが日産と自動運転サービスで協業、ZMPとは“運営方針の違い”で提携解消
ディー・エヌ・エー(DeNA)は、日産自動車の自動運転車を活用した新たな交通サービスのプラットフォーム(基盤)の開発を決定した。併せて、ベンチャー企業のZMPとの間で締結していた自動運転に関する業務提携も解消する。 - ルノー日産がコネクテッドサービス基盤を共通化、約1000人の組織で開発も強化
ルノー・日産アライアンス(ルノー日産)がコネクテッドカーやモビリティサービスの方向性について説明。責任者のオギ・レドジク氏は、ルノー、日産、インフィニティ、ダットサンなどルノー日産傘下の全てのブランドで、コネクテッドカーに必要なプラットフォームを共通化する方針を打ち出した。 - トヨタのコネクテッド戦略は3本の矢、「IoT時代の製造業の在り方を切り開く」
トヨタ自動車は、東京都内で会見を開き、同社のコネクテッド戦略を説明。2016年4月に新たに発足したコネクティッドカンパニーのプレジデントを務める専務役員の友山茂樹氏は「IoT時代の新しい製造業の在り方を切り開くため、モビリティサービスのプラットフォーマーになる」と強調した。 - ルノー・日産がソフトウェア開発会社を買収、IoTクラウド基盤をクルマで活用する?
ルノー・日産アライアンスは、フランスのソフトウェア開発会社 Sylpheoを買収した。買収額は非公表。自動車メーカーがソフトウェア開発会社を買収するのは珍しい。クラウドサービスの開発に強みを持つシルフェオをアライアンスの一員とすることにより、コネクテッドカーとモビリティサービスの開発を強化する。 - コネクテッド戦略を打ち出すトヨタと日産、ホンダはどうする?
「インターナビ」では先行してたイメージがあるのですが。