リアルタイムOS製品の開発プロセスが「IEC 62304」認証を取得:組み込み開発ニュース
イーソルは、リアルタイムOS製品の開発プロセスが医療機器用ソフトウェアの開発と保守に関する安全規格「IEC 62304」の認証を取得したことを発表した。併せて、リアルタイムOS「eT-Kernel」の提供を開始する。
イーソルは2016年12月8日、リアルタイムOS製品の開発プロセスが医療機器用ソフトウェアの開発と保守に関する安全規格「IEC 62304:2006 Medical device software-Software life cycle processes」の認証を取得したことを発表した。併せて、同基準を満たした開発プロセスで開発したリアルタイムOS「eT-Kernel」の提供を開始する。
国際的な認証機関である独SGS-TÜV SaarによりIEC 62304への準拠が認証されたことで同社は、厳格な製造販売認証・申請を必要とする医療機器開発の期間短縮やコスト低減に貢献する。
IEC 62304は、医療機器ソフトウェアのライフサイクルプロセスの枠組みを示した国際規格で、医療機器ソフトウェアの安全性向上を目的としたソフトウェア開発や保守に関する要求事項が規定されている。IEC 62304:2006は、日本国内では「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の要求を満たす規格とされる「JIS 2304:2012 医療機器ソフトウェア−ソフトウェアライフサイクルプロセス」として制定されている。
また同規格は、欧州のMedical Device Directive(MDD)、およびIn Vitro Diagnostic Devices Directive(IVDD)などで定められた要求事項を満たしている。米Food and Drug Administration(FDA)では、IEC 62304を許容可能な規格として受容している。
eT-Kernelは、オープンソースのT-Kernel 2.0に性能面・機能面で改良・拡張を加えたリアルタイムOS。国産OSとして初めて、ベーシックなプロファイル「eT-Kernel Compact」が機能安全規格ISO 26262(自動車)とIEC 61508(産業機器)において、最高の安全度水準(ASIL D、SIL 4)のプロダクト認証を取得した。リアルタイムOSベース開発環境「eBinder」、各種ミドルウェアおよびプロフェッショナルサービスと統合し、ソフトウェアプラットフォームとして提供する。
関連記事
- 組織体制もISO26262対応済みのジェイテクト、ADAS時代の機能安全は「冗長設計」
MONOistオートモーティブフォーラム主催のセミナー「IoT時代の自動車に求められるISO 26262と車載セキュリティ」の特別講演に、電動パワーステアリング大手のジェイテクトでシステム開発部 部長を務める賀治宏亮氏が登壇。本稿では賀治氏の講演を中心に、同セミナーのリポートをお送りする。 - 複雑化する車載機器開発をサポート、イーソルが専業子会社を設立
イーソルは、車載機器開発のサポートを専業とする100%子会社・イーソルトリニティを2015年4月1日に設立した。専門子会社の設立により、ソフトウェアの比重が増大している次世代車載システム開発の支援体制を強化していく構えだ。 - RTOSプラットフォームから開発プロセス支援まで、ソリューションの幅を広げたイーソル
国産リアルタイムOSとして初めてISO 26262とIEC 61508の最高安全水準のプロダクト認証を取得するなど、組み込みソフト開発をリードするイーソルがESEC2015に出展。機能安全開発支援はもちろん、メニーコア向けRTOSや画像処理・認識ライブラリまで、組み込みソフト開発者ならば見逃せない展示が来場者の関心を集めていた。 - イーソルの機能安全対応「eT-Kernel Platform」、ルネサス「RZ/Gシリーズ」をサポート
イーソルの機能安全対応TRONベースソフトウェアプラットフォーム「eT-Kernel Platform」がルネサス エレクトロニクスのHMI向けASSP「RZ/Gシリーズ」をサポートした。 - 組み込み機器にROSを、イーソルがエンジニアリングサービスを提供
イーソルが、組み込みシステムにオープンソースのロボット制御フレームワークである「ROS」を適用するエンジニアリングサービスを開始した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.