「AIの社会実装でダントツをリード」、NECが研究開発戦略を発表:人工知能ニュース(2/2 ページ)
NECは、研究開発拠点を集積する玉川事業場において、人工知能(AI)やICT(情報通信技術)、セキュリティなどを中核とする研究開発戦略について説明。「実世界理解に基づく社会ソリューション向けAIで、ダントツをリードしたい」(同社の中央研究所担当の執行役員を務める西原基夫氏)という。
オープンイノベーションで大きな成果
3つ目のオープンイノベーションは、西原氏が最も力を入れている施策だ。同氏は「2018年にはオープンイノベーション投資を現在の3倍に増やす。大学や研究機関との共同研究に加えて、スタートアップとの連携も積極的に進めたい」と強調する。実際に、秘密計算に用いる高速なマルチパーティー計算技術の開発では、単独での研究開発期間で3年間と見積もっていたところを、スタートアップとのオープンイノベーションにより1年以内で実現につなげた。「この成功モデルを全領域で拡大していきたい」(同氏)としている。
4つ目の人材マネジメントでは、AI領域の人材強化が鍵になる。NECは、AI技術研究者数を、2015年度の約150人から2018年度には300人に倍増させる計画だ。2016年10月時点で220人に達しており、計画は前倒しで進捗している。さらに情報科学だけでなく理学や、人文学、法学分野などの多様な人材を強化している。西原氏は「NECは、AIをどのように社会に役立てるかということを目的に開発を進めている。そのためにはAIを社会実装する際の諸問題を解決する多様な人材が必要だ」と説明する。
また研究者の新規採用は約4割が海外人材になっている。研究者の処遇を国内、海外関係なくグローバル基準としており、国内研究所、海外研究所の区別も取り払っているという。
映像や音声の認識技術は世界トップ
NECが現在研究開発で注力しているのは、AIとその基盤となるやICT、そしてセキュリティだ。中でもAIについては、国や自治体、企業にとって、デジタル化が十分ではない実世界で役立てられる社会ソリューションとしてのAI開発に焦点を当てている。
西原氏は「他社のAIは既に得られているデータの解析が得意だ。だがそれだけでは、われわれが注力する社会ソリューション特有の要件を満たせない。当社が世界トップの技術力を持つ、映像や音声から意味を解釈する認識技術などが必要になる」と述べる。
映像や音声の認識技術の他にも、専門家に依存しない特徴量の自動抽出技術、スモールデータからも可能な機械学習、数10Wで動作可能なAIプロセッサなどの技術開発に注力し、「実世界理解に基づく社会ソリューション向けAIで、ダントツをリードしたい」(西原氏)としている。
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