HVシステムは「全ての電動車両のコア技術」、トヨタは技術者を2021年までに3割増員:エコカー技術(2/2 ページ)
トヨタ自動車が2016年4月にカンパニー制に移行して、8カ月が経過した。カンパニー制の先駆けだった旧ユニットセンター、現パワートレインカンパニーも、開発体制の見直しと強化に動き出している。
パワートレインカンパニーが目指す姿と、TNGA
ユニットセンター改め、パワートレインカンパニーも“もっといいクルマづくり”のための構造改革「TNGA(Toyota New Global Architecture)」に対応している。これに合わせて、パワートレインカンパニーの働き方も変わったという。
パワートレインカンパニーが目指すのは、エンジンやトランスミッションを主な対象に、商品性、生産効率、開発効率の3つを向上することだ。
トヨタ自動車 専務役員 パワートレインカンパニー プレジデントの水島寿之氏は「2050年に新車が排出するCO2を2010年比で90%削減するには電気自動車や燃料電池車が必要だ。だが、それまでの間はハイブリッド車やプラグインハイブリッド車を含めエンジンを搭載するクルマが大多数だ。エンジンやトランスミッションを進化させることがCO2排出削減に大きく貢献する」と見ている。
これを踏まえ、TNGAパワートレインは、燃費など環境性能だけでなく走行性能も改善する。エンジンは広い回転域で熱効率とトルクを向上しており、トランスミッションは高効率な領域を広く使えるようにした。これにより、スムーズな発進やドライバーの意のままに反応する加速を実現したという。
また、TNGAパワートレインは、よりコンパクトな生産ラインで混流生産ができることを前提に設計した。生産技術部門や生産部門も開発に参加できる体制としたことにより実現した。
ユニットセンターとパワートレインカンパニーの違いについて、水島氏は「これまでユニットセンターはトヨタ自動車と取引する会社の1つというイメージだった。しかし、車両側もカンパニー制になり、それぞれの車両カンパニーの事業性や製品の地域性を重視した議論ができるようになった。その上で、パワートレインカンパニーの運営も進んでいる。パワートレインカンパニーの中で、従来のような役割分担を踏み越えて、開発段階から量産をにらんで課題をつぶしていけるようになったのが大きな変化だ」と述べている。
社外とも“大部屋活動”で共同開発
トヨタ自動車は先行開発を社内で進め、商品化の段階で外部と共同開発を行ってきたが、今後は開発の初期段階でも協力していく。
水島氏は「コア技術の内製化や手の内化は引き続き進めるが、グループ内やサプライヤとの連携も強化していきたい。開発シナリオを共有してベクトルを合わせ、協力する範囲と独自で取り組む部分をすみ分けることにより、トヨタ全体のシナジー最大化する」と述べた。
内製化する範囲については「自動車メーカーだからこそやらなければならないことが該当する。部品単位ではなく1台の車両としての技術は独自に持っていく」(同氏)とし、「1台のクルマを支えるユニット単位の技術は、自動車メーカー単独で持つのではなく共有すべき部分も多い」(同氏)とすみ分ける。
今後、パワートレインカンパニーでは、エンジンとトランスミッションの他、ハイブリッドシステムの開発を電動化のコア技術と位置付けて取り組む。「ハイブリッドシステムは全ての電動車両のコア技術となると考える。駆動用モーターと駆動用バッテリー、パワーコントロールユニットは、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車に共通する」(同氏)とし、ハイブリッドシステムの開発者を2021年までの5年間で3割増員する計画だ。
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