ファナックの“緑の安全ロボット”が小型製品を拡充、部品組み立てで“協働”:JIMTOF2016
ファナックは「JIMTOF2016」において、安全柵なしで人と同じ空間で作業できる安全機能を採用した「緑のロボット」の新製品3機種を披露した。小型モデルを拡充することで、人とロボットが協力して小型部品を組み立てるなど、製造工程のロボットの活用範囲を広げていく。
ファナックは「第28回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)」(2016年11月17〜22日、東京ビッグサイト)において、安全柵なしで人と同じ空間で作業できる安全機能を採用した「緑のロボット」の新製品3機種を披露した。小型モデルを拡充することで、人とロボットが協力して小型部品を組み立てるなど、製造工程のロボットの活用範囲を広げていく。
「黄色」ではなく「緑」
人と協調して働く「協働ロボット」は、国内の規制緩和などもあり、導入拡大が進んでいる。従来の国内の規制では、80W以上のロボットについては、柵で囲い人間の作業スペースから隔離しなければならなかった。しかし、2013年12月の規制緩和により、「ロボットメーカー、ユーザーが国際標準化機構(ISO)の定める産業用ロボットの規格に準じた措置を講じる」などの条件を満たせば、80W以上の産業用ロボットでも人と同じ作業スペースで、働くことが可能となった。これにより、より省スペースでフレキシブルな生産ラインを実現できるようになった。
ファナックでは、これらの背景から2015年に初の協働ロボット「CR-35iA」を発売。従来ファナック製品は黄色を基調としていたが、安全を強調するために緑色を採用したことでも大きく注目を集めた。発売後は、協働を実現する安全性能や35kgの可搬性能などが評価を受け、順調に導入が進んでいるという。
今回は、「CR-35iA」に加え、新たに小型モデルのラインアップを拡充。4kg可搬の「CR-4iA」と7kg可搬の「CR-7iA」と「CR-7iA/L」を新たに販売することを発表し、JIMTOF2016に出展した。
「CR-35iA」と同様、ファナック独自の安全機能により、人に触れるとロボットは安全に停止する。また、第三者安全認証機関から、国際規格ISO10218-1適合の安全認証を取得している。
安全機能により安全柵を必要としないため、人とロボットが一緒に作業することができ、作業者がいる製造工程にも小型サイズを生かして密集して配置させられることが特徴。天吊りや壁掛け設置にも対応しており、人の作業エリアを妨げることなく、より広い作業空間を確保することができる。ロボットの重量が軽いため、台車に載せて移設することなどもできる。用途としては、電子部品などの小物部品の搬送、組み立てなどを想定しており、従来は利用が難しかったこれらの作業補助などでのロボット活用が可能となる。
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