「有機ELパワー、メイクアップ!」、パナソニックの新ビューティーがシミを消す:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
パナソニックは、パナソニックラボラトリー東京(東京都江東区)で記者会見を開き、「CEATEC JAPAN 2016」で話題になった「スノービューティーミラー」と「メイクアップシート」の開発状況
メイクアップシートは分子間力で貼り付く
非接触肌センシングの結果から、スノービューティーミラーは最適な化粧品などの改善提案を行う。この改善提案を実施する手段として練られたのが、極薄のシートを肌に貼るだけでファンデーションやコンシーラーを用いたメークと同じ効果が得られるメイクアップシートである。
メイクアップシートは、手術などにも用いられている生体安全性を持つ極薄(厚さ100nm)シート状に、有機ELディスプレイの開発で培ったさまざまな技術を応用して、ファンデーションやコンシーラーなどを印刷する。例えば、スノービューティーミラーで測定したしみの位置から目立つしみを抽出した後、そのしみが目立たなくなるようなメイクアップシートを自動で印刷してくれるのだ。
実は会見の説明員は全員が「メイクアップシート」を使用。川口氏も頬の部分に貼っており、目の下にかすかにシートの線が見えている。遠くからは見分けがつかず、さらにファンデーションで隠せば全く分からなくなるという(クリックで拡大)
極薄のメイクアップシートは、水を吹き付けるだけで肌に貼ることができる。水が必要なのは肌の上になじませるためで、水が乾けば分子間力によってシートはきれいに貼り付く(ラップフィルム同士が貼り付いて離れないのと同じ原理)。シートをはがす場合には、貼る時と同様に水を吹き付けてこすれば簡単に取れる。
川口氏は、実用化時期について「2020年を目標にしている。ただ、CEATEC JAPAN 2016での来場者の反応では、デパートの化粧品コーナーのようなところでスノービューティーミラーで測定を行い、その場でメイクアップシートを印刷して渡したり、宅配で送ったりという要望が聞こえてきた。今後は化粧品メーカーなどと相談しながら、より早い時期での実用化につなげたい」と述べている。
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