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“脱系列”時代の原価企画、IoTで高い見積精度を確保するトヨタ生産方式で考えるIoT活用(7)(5/5 ページ)

日本型モノづくりの象徴ともいうべき「トヨタ生産方式」。本連載では多くの製造業が取り入れるトヨタ生産方式の利点を生かしつつ、IoTを活用してモノづくりを強化するポイントについて解説していきます。第7回は、原価企画にIoTを活用する考え方について説明します。

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原価企画にIoTを活用する効果

 原価企画にIoTを活用する効果は次の通りです。

1.精度の高い見積による適正利益の確保

 原価企画データベースや実績原単位の把握と活用により、自社の実力を加味した精度の高い見積ができ、適正な利益確保が可能になります。

2.短期間高精度な見積提示による顧客満足度の向上と売上増加

 原価企画データベースの活用により、顧客からの短期間での要求に応えることが可能となり、顧客満足度の向上と受注確率向上による売上増加につなげます。

3.上流工程(設計、生産技術)の改善活動の推進と製品力の強化

 検査工程の自働化により不具合箇所の要因特定と上流工程(設計、生産技術)の連携が円滑になり、改善を迅速に行うことが可能となります。そして改善活動が推進されることにより、製品力強化につながります。

4.生産拠点別の為替差、地域差の補正によるグローバル原価企画管理体制の強化

 原価企画データベースやクラウドサービスの活用により、各国での見積や実績原価の活用が円滑になり、グローバルでの原価企画管理体制が強化できます。

 最後にまとめですが、自動車業界は今までは系列内の取引が中心でしたが、脱『系列』やグローバル化の拡大に伴い、各部門の連携を強化して自社の競争力を定量的に精緻に把握し、高レスポンスな営業力を強化することが重要になっています。そのためには、IoT活用により各部門の情報共有と連携強化を図ることが可能になると捉えております。

図5
図5 導入効果(クリックで拡大)


 これで原価企画におけるIoTの活用についての説明は以上です。次回は部品表構築におけるIoTの活用について説明します。

筆者紹介

株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)

NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、

原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。


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IoT | トヨタ生産方式 | 原価管理


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