VR空間での“ワイガヤ”設計レビューが合理化で失われた設計情報の共有を可能に:VRニュース(2/2 ページ)
サイバネットシステムは、VR(仮想現実)を用いた設計レビュー支援システム「バーチャルデザインレビュー」の販売を開始した。3D CADツールやCAEツールの導入/普及に合わせて進んだ合理化によって失われた、設計業務におけるノウハウやちょっとしたコツなどの情報共有を可能にする「ワイガヤ設計レビュー」をコンセプトに開発された。
「若手エンジニアがなかなか育たない」という悩みはVRで解決できる?
バーチャルデザインレビューの開発の背景には、設計現場における「若手エンジニアがなかなか育たない。教育は十分に時間をとっているのになぜだろう」という管理者の悩みがあったという。サイバネットシステム 執行役員 ITソリューション事業本部 データソリューション事業部 事業部長の加苅政猛氏は「実際に設計者本人も『自分の設計や解析が正しいかいつも心配だ』と考えていることが、大手製造業の設計者向けのアンケートで分かった。そしてこの問題の原因は、設計者間におけるコミュニケーションの減少にあるのではないかと考えた」と語る。
3D CADツールの導入による設計業務の合理化、過去の経験の電子化/ライブラリ化、2D図面時代の現図台からPCへの作業場所の移行などが進んでおり、これに合わせて、成功/失敗の経験、気付き、議論、ちょっとしたコツ、判断過程などを共有する機会が失われているというのだ。
サイバネットシステムではこれらの課題を2013年ごとに把握し、合理化で失われた設計業務の情報共有を可能にする「ワイガヤ設計レビュー」というコンセプトでVRによる3D CADデータの活用を検討した。しかしその時点ではVRシステムが高価だったこともあり、「iPad」を用いたARを採用した。
このARを使ったワイガヤ設計レビューの評価を進めたところ、iPadでは設計データを扱いきれないことや、通信速度にも問題があることが見えてきた。その一方で、当初のコンセプトである“ワイガヤ”による設計業務の情報共有の有効性は認められた。離れた場所からの参加が可能な点も好評だった。バーチャルデザインレビューに搭載されている協調作業支援機能やレビュー結果の記録機能も、この評価から生まれたものだ。
加苅氏は「ワイガヤ設計レビューにはやはりVRが必要だろうという結果が見えたところで、HTC Viveにような安価なVRシステムが登場した。バーチャルデザインレビューはある意味、満を持しての投入になる。欧州では、VRシステムを用いたバーチャルエンジニアリングが普及しつつあるが、バーチャルデザインレビューが日本国内でのバーチャルエンジニアリング普及の起爆剤になれば」と述べている。
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