「ナイトライダー」が現実に、音声アシスタントの進化が止まらない:IoTと製造業の深イイ関係(3)(2/3 ページ)
脚光を浴びるIoT(モノのインターネット)だが、製造業にとってIoT活用の方向性が見いだしきれたとはいえない状況だ。本連載では、世界の先進的な事例などから「IoTと製造業の深イイ関係」を模索していく。第3回は、IoTと人工知能(AI)との連携によって進化が加速している音声アシスタント機能の動向に迫る。
音声アシスタントと最も親和性が高いのはクルマ
これらの取り組みは、今後われわれの社会や経済にどのようなインパクトを与えるだろうか。2016年10月3日、米調査会社大手のGartner(ガートナー)は、Amazon EchoやGoogle Homeのような音声アシスタント(VPA:Virtual Personal Assistant)対応ワイヤレススピーカー市場は、2015年の21億米ドルから、2020年には360億米ドルに成長するとの予測を発表している。このように市場が拡大していく理由について同社は、「2015年まではAmazon Alexaのみが同市場をけん引していたが、Google AssistantやMicrosoft(マイクロソフト)の『Cortana』、アップルのSiriを含むさまざまな企業が同市場への本格的な参入を行うとともに、グーグルやマイクロソフトはこの機能を第三者に公開することを明らかにしていることから、新たに多くのサービスやデバイスが生まれるからだ」としている。
現在は、多くのものがまだ音声による「コマンド」に応じた結果を出すにとどまっている。しかし、将来AIが発達し、人間の感情や文脈、個性などを理解して状況に応じた回答を返す、つまりまるで人間とやりとりしているかのような会話を、モノとの間で実現できるようになれば、冒頭でも事例を示したが、「暑いね」と話しかけるだけで、エアコンの温度を自動的に調整してくれるような日が来るかもしれない。
しかし、このような会話インタフェースのターゲット市場は、家の中にあるモノだけにとどまらない。筆者が考える最も親和性が高いものは「クルマ」である。車載機を含めた運転中のデバイス操作については、世界的に禁じる動きが出ている。その中で、新たな入力インタフェース(HMI:Human Machine Interface)として、ジェスチャーや音声などが注目され各社が開発を進めている。
ジェスチャー入力については、メーカーごとに動作が違う、なかなか認識されないなど課題も多く、さらにその決められたジェスチャーを行う行為自体で身を危険に去らす可能性さえある。その一方、音声アシスタントは、単に言葉を発するだけで操作が可能となる。過去に米国ドラマ「ナイトライダー」で一躍注目を集めた、スーパーカー「ナイト2000」の人間と会話できるAI「K.I.T.T.」が現実になる世界に向けて動き始めているのだ。
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