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CFRPのマルチスケール解析で分子から構造まで、3DプリントもCAEイベントリポート(4/4 ページ)

CFRPなどの複合材料は内部構造が複雑なため、分子スケールから考慮しなければ正確にシミュレーションすることは難しい。東京理科大学の松崎亮介氏が、ダッソーのカンファレンスでその取り組みについて語った。

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CFRPを3Dプリント

 松崎氏は最後に、日本大学、東京工業大学とともに取り組んでいる3DプリンタによるCFRPの出力について紹介した。市販されている3Dプリンタの材料は樹脂が主流だが、構造材料として使うには強度や剛性の面で不十分である。金属プリンタも存在するが、航空機をはじめとする輸送機器は重量増を避けるため金属でないことが望ましい。一方、CFRPの工程は複雑だ。型が必要で、少量多品種の航空宇宙においては部品ごとに型を制作、保管することは現実的ではない。可能な部品については3DプリンタでCFRPを出力できれば、これらのような開発コスト、製造コスト、重量を大幅に削減できる可能性がある。


図:連続炭素繊維プリンタによる高強度立体造形

FDMをベースに

 この事例ではFDM(熱溶解積層法)方式を用いている。1000本程度の繊維からなる連続炭素繊維をノズルの中で樹脂を含浸させ、CFRTP(Carbon fiber reinforced thermo plastics、母材に熱可塑性樹脂を用いた複合材。熱可塑性CFRPとも)のフィラメントを引き出すという仕組みだ。中空構造を含めさまざまな形状を作ることができる。通常の樹脂ではサポート材が必要となる場合も、炭素繊維が入っていると繊維自体の張力で支えられるため、サポート材が必要ないのも大きな特徴だ。樹脂製より高剛性・高強度のCFRPを作ることができる、成形までを自動化できるといったメリットがある。


図:CFRTPの3Dプリントの様子

市販プリンタより物性が良いことを確認

 図はダンベル型の試験片だ。PLA、CFRP、生分解性プラスチックとジュートを使ったグリーンコンポジットを出力した。グリーンコンポジットはPLAより少し強い一方で、CFRPは引っ張り剛性が6倍、引張強度は4.3倍であることが確認できた。グラフのように、粉末、熱溶解、光造形それぞれの造形方法の樹脂3Dプリンタと比較しても、2つの特性が向上したことが確認できた。まだ性能向上する必要はあるが、使える可能性があるという。


図:3Dプリントしたダンベル型試験片

 また繊維方向の強度や剛性が高いため、どのようにパスを作っていくかも重要なポイントになる。それの最適化も研究しているところだという。「この点で既存の技術と差別化していけるのではないかと考えている」(松崎氏)。


図:市販工業用3Dプリンタとの材料特性比較

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