ルネサスが高機能な産業機器向けにLinux開発環境を提供、エコシステムが充実:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは、産業機器にHMI(Human Machine Interface)機能を搭載する際などの組み込みLinux環境の導入の容易化と、産業機器分野の製品開発およびメンテナンスに掛かる総費用を低減する「RZ/G Linuxプラットフォーム」を新たに開発した。パートナー企業と協力してのエコシステムの充実が最大の特徴となる。
Linux関連のオープンソース活動の成果を製品展開に絡める
RZ/G Linuxプラットフォームで注目すべきは、クラウド上で実現した開発ツール、動作検証済みミドルウェア、対応評価ボードなども含めて、さまざまなパートナーと連名で発表を行っている点だ。
クラウド上で実現した開発ツールについては、クラウドに日本マイクロソフトの「Microsoft Azure」を採用し、環境整備と運用ではソフトバンク・テクノロジーとミラクル・リナックスの協力を得たとしている。
ミドルウェアは、NECの顔検出/顔照合エンジン「NeoFace」、NECソリューションイノベータの性別・年齢自動推定システム「FieldAnalyst」、図研エルミックのネットワークカメラモニタリング用ONVIFプロトコル「Ze-PRO IPmon」と同RTPプロトコル「Ze-PRO RTP」を動作検証済みとしている。
同プラットフォームに対応するRZ/Gシリーズの評価ボードを提供予定のパートナーとして、アイウェーブ・ジャパン、日立超LSIシステムズ、アルファプロジェクト、シリコンリナックスなどを挙げており、さらにこれらの評価ボードはそのまま量産製品に組み込むことが可能ともしている。
またGUI開発のフレームワークとして広く用いられているQtについても、Qtのバージョン5で初の長期間サポート版となったQt5.6を採用した。Qtの動作検証はSRAが実施した。
ルネサスは、これまでもSoC製品の評価用にLinuxプラットフォームを提供していたが、ここまでエコシステムの環境整備を前面に押し出した例は少ない。同社は2014年5月にLinux Foundationのゴールドメンバーとなってから、産業機器向けの長期メンテナンスカーネル(LTSI)に関する活動に力を入れており、車載Linux「Automotive Grade Linux(AGL)」の開発にも積極的に関与している。今回の発表は、これらのLinux関連のオープンソース活動を、製品展開に積極的に絡めたものといえるだろう。
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