ルネサスが高機能な産業機器向けにLinux開発環境を提供、エコシステムが充実:組み込み開発ニュース(1/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは、産業機器にHMI(Human Machine Interface)機能を搭載する際などの組み込みLinux環境の導入の容易化と、産業機器分野の製品開発およびメンテナンスに掛かる総費用を低減する「RZ/G Linuxプラットフォーム」を新たに開発した。パートナー企業と協力してのエコシステムの充実が最大の特徴となる。
ルネサス エレクトロニクスは2016年10月24日、産業機器にHMI(Human Machine Interface)機能を搭載する際などの組み込みLinux環境の導入の容易化と、産業機器分野の製品開発およびメンテナンスに掛かる総費用を低減するLinuxプラットフォームソリューション「RZ/G Linuxプラットフォーム」を新たに開発したと発表した。同日から、産業機器分野のユーザー向けへの提供を始めている。
RZ/G Linuxプラットフォームは、HMIを含めてより高度な機能が求められつつある産業機器向けに、組み込みLinuxを用いた製品開発を容易に行えるようにすることを主眼に置いた製品だ。このため、同プラットフォームの構成としては、Linux、マルチメディアミドルウェア、GUI(Graphical User Interface)、セキュリティなどから成る動作検証済みLinux標準パッケージ、クラウド上でのビルド、検証、解析を行う開発ツール群、ソフトウェア・アドオンにより機能の拡張が容易になる動作検証済みミドルウェアが前面に押し出されている。
プラットフォームの名称に入っている産業機器向けSoC(System on Chip)の「RZ/Gシリーズ」は2015年4月に発表されている(関連記事:3Dや複数動画処理に対応「RZ/Gシリーズ」、ルネサスがサンプル出荷)が、今回の発表に合わせてネットワーク接続に伴うセキュリティ機能(セキュリティ通信、データ保護、プログラム保護)を強化した「RZ/G1H-PF」「RZ/G1M-PF」「RZ/G1N-PF」「RZ/G1E-PF」の4品種を新たに投入した。同プラットフォームに対応するのはこれら4品種となる。最上位品種として加わったRZ/G1H-PFは、「Cortex-A15」4コア+「Cortex-A7」4コアに、GPUとして「PowerVR G6400」を搭載している。
ルネサスによれば、「産業機器分野では、ユーザビリティを向上させるため、動画を使った操作ガイダンスなどの表示や、スマートフォン、タブレットのような直感的に操作が可能なGUIの搭載が進んでいる。また、工場内のシステム効率の向上を目指して、個々の機器がスタンドアロンで動作する環境から、ネットワーク機能を搭載して互いにデータや作業の連携をしたり、クラウドと接続したりするサービスの構築も進んでいる」という。
それに伴い、これまでのリアルタイムOS環境から、マルチメディア処理やネットワーク機能などの基本的なソフトウェアが豊富にそろっているオープンソースのLinux環境への移行を検討するユーザーが増加している。しかし、これまでリアルタイムOS環境で組み込み機器の開発を行ってきたユーザーにとっては、Linuxに関する技術の習得や開発環境の準備などがLinux環境導入への大きな障壁になっていた。
今回のRZ/G Linuxプラットフォームを使えば、産業機器の開発に組み込みLinux環境を容易に導入でき、開発コストも低減できるという。
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